7/24(水)東京出発46日目、モンゴル20日目 ウリアスタイ〜アルタイ 走行距離198km

昨日から走り始めた永遠とダートが続く西モンゴルの道路。実は味戸さんのゲストハウスに滞在していた陽気なフランス人たちは私とは反対に西側からウランバートルに来ていて、まさにこの道を通って来ていました(道路工事は始まっていなかったため、ヤルーへの迂回路は通っていませんが)。
彼らは特にこの日私が走ろうとしているウリアスタイからアルタイへの道を「チャレンジングな道」と表現していたという話を聞いていました。
この日は、前日も100km以上のダートを走ってきていたので、出発前に簡単なオートバイの整備をしていました。するとあの元気で優しいホテルのおばちゃんが出てきて、お弁当を持って行きなさいとパンとゆで卵を包みに入れて持って来てくれました。
大変嬉しくありがたいことだったのですが、味戸さんから、モンゴルではいつ取れたかわからない古い卵が平気で売られていて、例え火を通していても食中毒を起こすことがあるので、卵は極力食べないようにという話を聞いていました。せっかくのご厚意でしたが、お腹が一杯なので大丈夫です、と丁寧に辞退して出発をしました。
この日の道路はチャレンジングと聞いていたので、気合いを入れます。
走り始めると天気も良く、適度なダートが私のテンションを高めます。スピードも上がり、この日は控えようと思っていた動画撮影まで始めます。
この程度のダートであれば十分に楽しみながらアルタイまで行けるとタカを括っていました。

しかし、ウリアスタイを出発して50kmほど走ったときでしょうか?
文字通り雲行きが怪しくなってきます。明らかに少し先の空には雨雲があり雨が降っているのが見えます。
これは不味い(-_-#)

雨雲が現れて、向こうでは雨が降っているのがわかる(>_<)
激しく降られてしまったらかなり危険な状況になりかねません。このような状況になってすれ違う車もほとんど見かけません。
屋久島でガイドの経験のある洋介さんが言っていました。雨の多い屋久島では地元の人ほど雨の恐さを知っているので、気象ニュースを注意深く見て雨が降ったら動かないそうです。私はこのときも冷静な判断を欠いていました。とにかく雨の区間を早く抜けたくて急いでしまったのです。
雨はどんどん激しくなります。ぬかるんだ地面が転倒の恐怖を煽ります。周りに何もない大平原に出てから雷も激しくなり始めました。大平原にポツンとバイクに乗る私…(>人<;)。落雷の恐怖も襲ってきます。
とにかく走らなきゃ(>人<;)
無我夢中で走ります!
一旦雨が落ち着いて来たところで冷静さを取り戻し、停車して休憩を挟みます。…、ムムム( ̄◇ ̄;)テネレ…、お前何かおかしくないか…?
よく見るとサイドケースがおかしな方向を向いています。あれ…、サイドケースをバイクに固定するステーは片側の3カ所で固定されているのですが、右側は3カ所のうち2カ所が折れています。つまり1カ所だけで支えている状態になっているのです( ̄◇ ̄;)


左側も1カ所折れているではないですか…。アルタイまで残りまだ100km以上のダートが続きます。
ダートを走るのが楽しいとか、雨が降ってきて怖いだとかで、テネレの負担も考えず、ダートをガンガン走って激しい振動を与えてしまっていた結果です(>人<;)
もうずっと車を見ていません。もしステーの残りのカ所も折れてしまったら、最悪私は荷物を捨ててアルタイを目指さないといけないかもしれません。とにかく私にできること、まずはステーへの負荷を軽減するためにサイドケースを直接ストラップで縛ってバイク本体と固定します。とは言っても鉄の頑強なステーがポッキリ逝ってしまうくらいですから、このストラップがどこまで耐えられかもわかりません。
そして、今まではテネレがその走破性を遺憾なく発揮していることに甘えて車体への振動を考慮せずに走っていましたが、ここからはゆっくり振動をなるべく与えないように走らなければなりません。
雨が降りしきる中、先を急ぎたい気持ちを精一杯抑えて丁寧な運転を心がけます。このときの私に昨日の転倒の恐怖が蘇ります。
激しい雨の中、雷も鳴り、荷物もいつ捨てなければならないかもわからない状況で、私の視界から一切の人工物が消えて久しいです。とにかく不安で不安で仕方ありませんでした。
遠くにブッシュが見えると、その影を車と勘違いしたりしました。とにかく人に会いたい…。ただし唯一救いだったのが、水とガソリンは十分に残っていることでした。最悪道路状況が悪くて先に進めなくなったとしても、数日ならば野営をして天気が回復するのを待つことができます。そのためには、もしサイドケースのステーが壊れたときに、テントの入ったサイドケースを捨てて先に進むか、そこに留まり野営をするかの判断を迫られることになるのですが…。
とにかく慎重に慎重に…。
どうにかこうにかアルタイまで残り20kmのところまで来ました。あと少しです。
すると反対車線の路肩に一台のバイクが停まっています。あれはどう見てもBMW GS ダカール(>人<;)現地の遊牧民が生活のために乗るバイクとは違い、走ることを趣味とするバイクです。でも、その所有者のフォルムがなんかおかしい…。それでも久しぶりに見た人\(^o^)/嬉しさのあまりわざわざUターンして反対車線に行きます。
どうしてかよくわからないですが、彼はこんな場所で骨付き肉を食べていました。モンゴル人のようですが英語も話せるようです。私のサイドケースの破損カ所を見せると一瞬驚いた表情を見せますが、アルタイまで行けば修理できる場所があると教えてくれます。そして残り20kmだから頑張れ!とも。

こんなにも人に会えて嬉しいと思ったことはありませんでした(>_<)
人に会えるのがこんなにも嬉しいものなのか(>人<;)
残り20kmのダートも最後まで気を抜かずなんとかアルタイまでの道を走り切ることができました。
前日の転倒がずっと私の頭にこびり付いていて、この日は恐怖とストレスの中の走行を余儀なくされていました。ホテルに着くと、この旅で今までになかったくらいの安堵感に包まれました。
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