8月17日(土)東京出発70日目、キルギスタン3日目、ビシュケク~ソンクル 走行距離301km

この日は前日に予定した通りソンクル湖を目指します。午前中は雨予報ですが、午後からはソンクルの方も晴れる予報ですのできれいな景色が見られるのではないかと期待します。
朝ごはんを食べようとテラスに行くと昨晩の日本人メンバーも朝食を取っていたので仲間に入れていただきます。
サチさんと清水さんはこの日カザフスタンに行き、次の日に日本へ帰国予定ということでしたが、偶然帰りの飛行機が一緒ということで一緒に出発していきました。
2人の背中を見送った私ですが、ふと一緒に写真を撮っていないことを思い出し走って追いかけるとなんとか間に合って前日の夜のメンバみんなで一緒に写真を撮ることができました。


私も遅くならないうちに出発の準備を始めました。レジスさんがタバコを吸っていて私のバイクの写真を撮っても良いかと聞いてきます。
もちろんOKですよと伝えると、昨日一緒に盛り上がったメンバの中の若い美人の女の子が、「レジスさんと一緒の写真撮りますよ」と言ってくださいました。

その子もすごく素敵な優しい子で、私のオートバイを見てはカッコいいですねぇを連呼してくれます。
カッコいいのは私のオートバイであって私のことではないのはわかってはいても、素敵な女性にカッコいいを連呼されてしまうと気分が良くなるものです。
調子に乗って「一緒に写真撮りますか?」なんて言おうかとも思いましたが、「はぁ(´Д`)、何言ってんの?そういう意味じゃねぇし。何勘違いしてんの?」なんて言われた日には楽しみにしていたパミールハイウェイまで引きずってしまいかねませんので、喉元まで出かけた言葉を飲み込みました。
無駄なリスクを取らない私らしい英断だったと思います。
私のこれまでの旅ですと、出会うツーリストの多くがライダーだったのですが、ここではライダーは珍しいらしく、たくさんの人たちが私の出発を見送ってくれました。
出発して少し走ると小雨が降ってきます。キルギスタンも標高が高く日が隠れると一気に気温が下がるため、モンゴルでの轍は踏まないと早めにガソリンスタンドに避難して、取り出しやすくしておいたスキーウェアを着ます。
これが功を奏し体を冷やすことなく先に進むことができました。途中前が見えないほどの大雨にもなったのですが、舗装路でしたので問題なく進めます。
キルギスタンは山がちで標高が高いということで絶景が広がります。
しばらく食事を取れるような場所も見つけられていなく空腹だったそのとき、幾つかのお店が道端に並んでいるのを見つけました。
これ幸いとバイクを寄せると、どのお店も一様に同じ魚を油で揚げて売っています。その中の一人のお父さんが、うちの店のが一番おいしいからここで食えという風に手招きをしてきます。

そこまで言うなら食わせてもらおうじゃないかとお店に入ります。外で揚げているくせに出てきた魚はすでに冷めていました。揚げたてが欲しかったですがすでに手を付けてしまっているのであきらめます。
でもこの魚、意外とおいしいです。味は鰺に似ています(ダジャレじゃないです)。油でしっかりと揚げられているので骨まで食べられます。

娘さんが接客してくれたのでお父さんと一緒に写真を撮らせてとお願いしたのですが、年頃の女の子は恥ずかしがってこっちを向いてくれません。

お父さんに手を上げてさよならしてそのままソンクル湖をめざしました。
先ほどのお店から少し行ったところでsong-kulと書かれた看板を見つけたのでその道に入っていきます。


ここから50kmほどのダートが続きます。くねくねと曲がりくねった山道をどんどん上っていくとので気温は益々下がっていきます。おそらくここがソンクルの折り返し地点だなと思われるところに到着したので少し丘に登り、見晴らしのいいところでテントを張ってキャンプすることにしました。
標高は3,000mを超えていますので当然冷えますがそれまで出ていた雲も消え、本当に美しい夕焼けです。夕食を済ませてコーヒーを淹れたひとときは何にも代えがたい至福のひとときでした。
これ以上美しい景色があるのかと思うほどで、こんな景色が見られたなら楽しみにしていたパミールハイウェイに行く必要は無いのではないかと思ってしまうほどでしたが、後にパミールハイウェイに行ってその考えは正しくなかったと気づくのですが、それはまた別のお話。



夜中、やはり冷えるためトイレに行きたくなりテントの外に出ました。清水さんから今は満月真っ盛りなので星は期待できないかもしれませんねと言われていたので、星空は期待していなかったのですが、外に出た瞬間、外灯に照らされていると勘違いするほどの明るい月明かりに驚きました。
この旅に出ることがなければ本当の月の明るさを一生知ることは無かったのかもしれないと思うとちょっとうれしい気分になり、再び眠りに落ちるのでした。
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