8/19(月)東京出発72日目、キルギスタン5日目 カザールマン~オシュ 走行距離266km

カザールマンの宿で一泊し、この日はパミールハイウェイへの入り口と言われるキルギスタンの比較的な大きな街オシュを目指します。
朝食は昨夜同じ宿に泊まっていたオーストラリア人とドイツ人カップル、アメリカ人の母子と一緒に宿の食事を摂ります。
食卓の上の果物が乗ったお皿にバナナが一本だけ乗っていました。
アメリカ人の母親がそれを手に取り、他に食べたい人はいる?と聞いて回ります。
残りの他の人たちは誰もいらないと言いました。
私はあなた次第で食べても食べなくても良いというような曖昧な返事をしてしまい、その母親に、「あなたが答えるのは「yes」か「no」のどちらかだけよ。どっちなの?」とたしなめられてしまいます。
そこで私はどうしても食べたいわけではなかったので気を使ったつもりで「no」と答えました。
するとその母親は「私も一本丸々はいらないわ」と器にバナナを戻してしまいました。
慌てて「そういうことなら私が半分食べます」と言うと、それじゃと言ってバナナ皮を剥いて半分に折った残りを私にくれました。
その光景を周りの人たちは苦笑いで見ていましたが、はっきりしないジャパニーズだなと内心呆れていたことでしょう。
こういうのは美徳でも何でもなく日本人の良くない気の使い方なのでしょう。
自分の意見や意思をきちんと伝えることの方がこういう場合は円滑に物事が進むのでしょうね。反省と恥ずかしさの入り交じった朝食になりました。
朝食を終えて再びバイクに跨がり出発します。
前日は早い時間にゆっくり休みをとったので気持ちよく出発できました。
昨日はうんざりしたダートもまた新鮮な気持ちで走れるので不思議なものです。

しかしそれも一時間程度で疲れてきます。
景色は本当にキレイです。でも、気を使いながら前日も同じような細い山間の崖を走るのはものすごく疲れます。


ビシュケクのさくらゲストハウスで出会ったサチさんも言っていました。
「ソンクル湖に行ったとき、景色はキレイだったんだけど、ずっとそうだから途中で、もう良いよって気持ちになっちゃった。思わず『もうお腹一杯』って声に出して言っちゃったよぉ。」
うん、スゴく良くわかります。私もお腹一杯です。

早くこの山道を抜けて舗装路に出たいです。二日前から延々とダートを走り続けているためやはり疲労は溜まっていました。

細い反対側が奈落の崖の山道を抜けて遂にフラットなダートにたどり着きます。
思わずそのときに漏れた言葉が「舗装路に出た」でした。
イヤイヤイヤ、舗装路じゃないし(;´д`)
でもそのくらい山道にうんざりしていました。
一旦一呼吸置いて休憩を取っていると、前方からBMW GS1200の3人組がやって来ました。
ドイツ人3人組のこの男たちはこれからソンクルに向かうようです。
この先の道路状況やガソリンスタンドの有無、町はあるかなどを聞かれます。
この中の一番若い男が体調不良を訴えています。

とにかく100km先にカザールマンという町があり、そこに宿とガソリンスタンドがあるのでそこで休憩と補給は可能であることを伝えます。
しかし、カザールマンから先も少なくとも300kmくらい細い崖のある山道が続くことも伝えます。
しかも振り返ると私が走ってきた山には雨雲がかかっていました。

天気に恵まれていたので私はこの道を無事に走ることができましたが雨が降ったら、いくら3人一緒でも危険極まりないと思います。しかもそのうちの一人は体調不良を訴えています。
彼らも天気を非常に気にしています。
私としては天気と体調の回復を待って一旦引き返すことを勧めたいですが、彼らの旅なので彼らの判断に委ねるだけです。
体調の悪い男は大丈夫だから行こうと言ってそのまま私が辿ってきた道を進んで行きました。
体調不良、雨、悪路…、とにかく彼らの無事を願うばかりです。
彼らは私にも幾つかの情報を残してくれました。
まずは私が走ってきたダートはあと10kmほどでとてもキレイな舗装路に変わること、そしてこれから私が向かうタジキスタンは非常に道路が悪いので、一人で行くならくれぐれも気を付けるようにとのことでした。
パミールハイウェイへの期待はあるものの、実は私はほとんど情報を持っていなかったため、この情報が私に一抹の不安を与えることになりました。
このドイツ人ライダーたちが教えてくれたように少し進むとキレイな舗装路になりました。
これなら十分余裕を持ってオシュに行けそうです。
途中、道端でたくさんのヒマワリの花を積んで何やら作業をしている女性たちを見かけました。

バイクを停めて話しかけてみると、愛想の良いお母さんが、「ヒマワリの種を取っているのよ。こうして棒で叩いて。あなたもやってみる?」と棒を貸してくれました(この様子はネット環境の良いところに行ったらyoutubeにあげようと思います)。
私が作業を手伝っていると、そこに通りかかった女子高生らしき二人組が親指を立ててグッドと言います。
こんな交流も楽しいです。
しかし、一つ二つやる分には良いのですが、これだけ山盛りのヒマワリの種を取るのは重労働です。しかもヒマワリの種の周りにあるガクが手に刺さって痛いのです。
お母さんの手を見せてもらうとやはり傷だらけでした。

きっとこれだけの仕事ではいくらの稼ぎにもならないでしょう。でも今まで見てきた国はどこでも女性が良く働きます。本当に頭が下がる思いです。
手伝わせてくれてありがとうと伝えてそのままオシュの街を目指します。
幾つかの町を抜けてオシュに到着すると、目星を付けていた宿への道が工事をしていて多少回り道にはなりましたが、無事、宿に到着することができました。
宿の前に可愛らしいご年配の女性がちょうど立ち話をしていて、私を見つけるなり「うちの宿に泊まる?」って聞いてくれました。
そのつもりでここにきたのでもちろん泊めてくださいと言います。
この小さな宿で私はとても大切な出会いをするとはこのときには夢に思っていませんでした。
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日本人は良い意味でも悪い意味でも世界一ハイコンテクストですからね、僕も今年ワーホリに飛ぶので、曖昧な回答、過度な空気読みは気を付けようと思いました(笑)
ワーホリに行かれるのですね!
是非素敵な経験にしてください。
欧米系の人は特にはっきりと自分の意思を伝えることを好む傾向にあるように感じます。
まずは自分がどうしたいのかを伝えて、そのあとに相手がどうしたいのかを確認するというような。
でも、実際に私自身がどっちでも良いと思うことが多くて、私の場合は自分の意思をはっきり言うのが難しいというより、自分の意思を持つ方が難しかったりします(;´д`)