8/22(木)東京出発76日目、キルギスタン7日目 オシュ~サリタシュ 走行距離180km

警察官に停められて賄賂を要求されたことで非常に不愉快な気持ちになり、さらには後々面倒なことになったら嫌だなという不安も襲ってきて一気にテンションが下がりました。
もちろん私が交通違反をしたというならチョロマカス気もさらさらないですし、それは甘んじて受け入れます。
でも、あれでは全く彼らを信用できないですし、私が違反を本当にしたのかどうかもわかりません。
そこから先にサリタシュの町まで大変美しい景色が続き、時間的な余裕もあったため本来なら写真を撮りながらゆっくり進むこともできたのですが、あのクソヤロウのせいで全くそんな気にもなれないのです。
旅を台無しされて不愉快極まりないです。カザフスタンもキルギスタンも治安も良くみんな優しくて美しい景色がたくさんあるのに、どうして警察官だけが腐るのでしょうか?
人間は下手に権力を与えると自分が偉くなったと勘違いしてしまうのでしょうか?
しかし、キルギスタンの雄大な自然とそこに暮らすのどかな人々を見ているうちに、あの人間のクズのことは忘れようと思わせてもらいました。
サリタシュの町は標高3,000mを優に越えるため、標高1,000m弱のオシュからどんどん登って行きます。
こんな山間にも人が住んでいるんだと感心します。そしてみんな穏やかで、オートバイで通り過ぎる私に手を振ってくれたりもします。
集落から少し離れた所に掘っ建て小屋のようなものがあり、そこではお母さんと娘さんが洗濯をしていました。

オートバイを停めると笑顔で手を振ってくれます。
近付いていき、写真を撮っても良いかとスマホを取り出すと娘さんは恥ずかしそうにしますが、良いよと言ってくれます。

この国では若い年頃の女の子ほど写真を撮られるのを恥ずかしがりますが、この母娘は、娘さんの方が許可してくれ、お母さんの方が恥ずかしがります。
でも、娘さんがお母さんに一緒に写ろうと言ってくれて写真を撮らせてくれました。

働き者の素敵な母娘に心が癒されます。
サリタシュの町に着いたちょうどそのとき、前からホンダアフリカツインがやって来ました。
私が左手を上げて挨拶をすると、アフリカツインはちょうどすぐ横にあったカフェに入って行き、私にもこっちに来いと合図をします。
この日は警察官の不愉快な対応があったため、昼食は摂らずに宿を探してそのまま何もせずにのんびりしようと思っていたのですが、パミールハイウェイの貴重な話を聞けるのではないかと思い、カフェに行くことにしました。
カフェに入ると、なんとそこにはビシュケクでさくらゲストハウスに泊まっていた日本人大学生チャリダーの男の子二人が食事を摂っていました。
昨晩このサリタシュに宿泊して、これからキルギスタンの国境を越えてそこで夜営する予定だと言うのです。

日本の若きチャリダーたち!
どこの宿に泊まったかを聞くとすぐ近くに金額もお手頃で夕食朝食付きの宿を教えてくれました。
アフリカツインのライダーを待たせては悪いと席に着き話を聞きます。
彼はアメリカ人でこれから私もつい先日に行ったソンクルに行くということでした。
お互いのこれから向かう場所の情報交換をします。

英語も堪能で美人だったので写真を撮らせてもらいました\(^_^)/
食事を終えて外に出ると今度はなんと先代のテネレさん(約30年前にパリダカで大活躍した初代テネレ)に乗った男がやって来るではありませんか?
先代テネレなんて滅多にお目にかけることなんて無いと思っていたのに、モンゴルの味戸さんのゲストハウスにいた陽気なフランス人ライダーに続いて、この旅で2台目の現役先代テネレさんです\(^_^)/
アフリカツインのライダーは少し挨拶をして去って行きました。
この先代テネレさんのライダーはポーランド出身のマイケル。
挨拶をして、私が先代テネレさんを絶賛しているとマイケルが言います。
「昨日からコイツ、かなり調子悪いんだ。お前、今日はサリタシュに泊まるのか?だったら俺も同じ所に泊まるから工具貸してくれないか?」
最初ちょっと面倒くさいなと思ったのですが、先代テネレさんを間近で見られるチャンスなのでこれは面白そうだと思い「良いですよ。今さっきそこの日本人に近くに宿があるのを教えてもらったのでそこに行きましょう」と言いました。
カフェから100mほどのほんのすぐそこに宿はありました。
早速荷物を部屋に置くと先代テネレさんのメンテナンスを始めます。

マイケルは先代テネレさんのタンクを外すと中のキャブレターをばらして行きます。

この日は早めに宿に着いて特にやることも決めていなかったので、むしろこれは貴重な経験でした。
マイケルから「このネジ外してくれないか?」とか「ここ、押さえておいてくれないか?」とか言われるがままに手伝いますが、それでもこんな風にバイクをばらしたことは無いので楽しいです。
マイケルはどうやらキャブレターの汚れが原因だと当たりをつけていたらしく、一通りキャブレターをばらし清掃をして組み立て直します。
途中でマイケルにタイラップを持っていないか聞かれたので、日本から持参したタイラップを渡すと、日本語の書かれたパッケージを見て、「これは日本のタイラップか!日本製のオートバイを日本製のタイラップで補修したら完璧な品質の物が出来上がるぞ!」と言います。
どこに行っても日本製はスゴいと喜ばれます。
組み立て直してエンジンを掛けると勢い良くエンジンが回り、互いにハイタッチをしました。

お守りにします!
一通りのことが終わっても、この日は昼過ぎに宿に入ったので、まだまだ時間はありました。
宿の近くで遊んでいる子どもたちの声に泣き声が混じっていたので行ってみると、小さな男の子が泣いていました。
日本語で「どうした?どうした?」って聞いても通じるはずも無く、近くにいる他の男の子二人が何を言っているのかもわかりません。
とりあえず何もわからないので、変顔したり変なポーズをとってみたりすると泣いていた男の子も笑います。
するとこの子達3人で私にちょっかいを出したりし始めたので、自然と鬼ごっこになります。

良いことだ!
馬糞だか牛糞だかわからないものがそこら中に落ちているので気を付けないといけません(;´д`)
そんなに全力で走り回っている訳では無いのですが、すぐに息が上がってしまいます。
運動不足なのか?年齢なのか?いやいや標高が高いせいだと言い訳をします。
一通り遊んでいると、子どもたちの家族が迎えに来たのでバイバイして宿に戻ります。
宿に戻り夕食を摂っているとマイケルが言います。
「ヒデは明日パミールハイウェイに行くんだろ?俺も行くから一緒に行かないか?」
一瞬どうしようかと迷いました。
カザフスタンで洋介さんとアシムとお別れしてまで一人になったのにまた誰かと行動するのかと…。
でも、マイケルのバイクは大変古いバイクですのでまたいつ不具合が起きるかもわかりません。
一人でその状況はキツイですが、助け合いながら行くのもまたそれはそれで楽しいのではないか。
「わかった。一緒に行こう」
それが私の返事でした。
そしてこの決断がこれからたくさんの感動を私に与えてくれるのでした。
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