8/29(木)東京出発83日目、タジキスタン7日目 カライクム~ドゥシャンベ
マイケル、アントニオと別れたその日はカライクムの町に宿泊しました。
事前の情報ではホログからカライクムまでの間がこのパミールハイウェイの中で一番道路状況が悪いということだったのですが、実際に走ってみるとそこまで酷いということはなく、難所らしい難所もありませんでした。
そして次の日、カライクムから30km ほど走るとそこはほとんどキレイな舗装路になり、パミールハイウェイも終わりに近づいていることを知らせてくれます。
本当に素晴らしかったパミールハイウェイ。名残惜しさもあり、そして何よりも素敵な仲間たちとの別れが私の心を切なくさせていました。
タジキスタンの中でも大きな街クリャープをちょうど昼過ぎに通過したため、ここで昼食を取ることにしました。
この国の人たちも非常に優しく、私が食堂で並んでいるときに間違えて前の人を抜かしてしまったかと思って、「すみません。お先にどうぞ」と前に促したところ、その人たちが、「いやいや、異国からのお客様こそどうぞ」と前に入れてくれてしまいました。
食堂は混雑していたため、席を見つけられないでいたのですが、そこでも私に気付いた人がまだ片付かないテーブルを指差し、店員を呼んで片付けるように言ってくれました。
席に座ると今度は警察官らしき制服を着た3人組の男たちが、私にフルーツの盛り合わせを持ってきて、親指を立てて去って行きました。

どうして全く知りもしない外国人の私にみんなこんなに優しくしてくれるのでしょうか?
食事をしていると今度は二人組の男が相席良いかと聞いてきたので、もちろんと答えました。
この国では珍しく片方の男の方は非常に流暢な英語を話します。
聞くところによるとこの二人は学校の先生ということで、この方は英語の先生だそうです。そしてもう一人の方は化学と生物の先生と言っていました。

一人ぼっちになりセンチメンタルになっている私をこの国の人たちの優しさが癒してくれます。
首都ドゥシャンベまで残り60kmほどになったところで見晴らしの良い展望台を見つけます。
残りあと少しですが、ここで一旦休憩を取ります。
すると3人組の女の子がやって来て私の周りをうろつきます。
顔がそっくりなので姉妹かなと思っていると、一番大きい女の子が「私たち姉妹なの」って英語で言ってきます。

うん、そうだね。顔そっくりだもんね
興味深そうにオートバイを眺めてサイドケースに触ったりしています。
「熱い部分もあるから気を付けてね」と笑顔で言うと、向こうも笑顔でうなずきます。
そして、「ねぇ、何かちょうだい」って言ってきます。

「お金ちょうだい」ですと嫌な気持ちになるのですが「何かちょうだい」は嫌な気持ちになりません。
うーん、この子達にあげられるものはあるかなぁと考えていると、サイドケースに貼られた他の旅人たちのステッカーに興味を示していたので、私のステッカーをあげます。
すると「もう一枚ちょうだい」って言ってきます。
ま、良いかと思ってもう一枚渡すと、「ねぇ、もう一枚ちょうだいよぉ」って言ってきます。
なぜそんなにこのステッカーが欲しいのか?
「そんなにはたくさんあげられないからこれで我慢して」と言い、チョコレートを持っていることを思い出したので一番上の子に「3人で分けてね」と言って渡します。
お姉ちゃんはちゃんと下の子達に分け与えてみんな食べていましたが、お菓子にはそこまで執着は無いようです。
真ん中の女の子が「他に何か無いの?何かちょうだい」って言ってきます。
おそらくこの子達は外国の珍しいものが欲しいだけのようです。
うーん、何かあげられるものがあると良いんだけどもと思っていると、近くで見ていた現地の若いお兄さんが現地の言葉でこの子達を叱りつけます。
私としてはそれほど嫌な思いもしていなかったので、叱るほどのことでも無かったのですが、この子達の元気がなくなってしまったのでかわいそうな思いをさせてしまいました。
「ごめんね。もう行くね」と言うと、3人とも手を振って見送ってくれました。
周りに何かあるわけではないこの地域ではたまに訪れる私のような観光客に遊んでもらう以外にこの子達にはやることがないのでしょう。
今思うと、もう少し遊んであげれば良かったかなと少し後悔しています。
そこから一時間もしないうちに首都ドゥシャンベに到着し、実はここから私にとって長い一週間が始まることとなるのでした。
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