8/30(金)東京出発84日目、タジキスタン8日目 ドゥシャンベ
パミールハイウェイを走り終えた私は本当にこの先どうするのかを決めていませんでした。
取り敢えずはもう一日ここドゥシャンベに滞在しようとは思ってはいたので、この日決めることにしました。
私はもう一度旅の原点に戻ってみることにしました。
私はこの旅で綺麗な景色を見ることや観光地に行くことはもちろん楽しみではあったのですが、何よりもいろいろな人たちに会っていろいろな価値観に触れたいということを一番大切にしたかったので、人が皆親切だというイランに行こうと決めました。
ここから西に行くルートは大きく分けて3つありました。
1つ目がウズベキスタンからカザフスタンに戻り、更にロシア経由でカスピ海を迂回するルート。
2つ目がウズベキスタンからカザフスタンに戻り、フェリーでカスピ海を渡るルート。
そして3つ目がウズベキスタンからトルクメニスタンを通過してイランに入るルート。
この旅に出発する前までは3つ目のトルクメニスタンからイランに行くルートで考えていたのですが、出発直前になり、250cc以上のオートバイがイランに入れなくなったという情報が舞い込み、ここから先のルートが白紙に戻っていたのです。
それがこのつい数日前に250cc以上ルールが破棄されたという嬉しいニュースが舞い込み、ならばイランに行こうという思いに至ったわけです。
取り敢えず決心だけして、あとはビザの取得について調べないとならなかったのですが、パミールハイウェイでかなりの負担を受けたテネレさんのメンテナンスを先にしてあげたいと思い(ビザの申請にこんなに時間がかかるなら先にそっちからやるべきだったと後で後悔するのですが)、先ずは自分でできるメンテナンスを宿でしてあげます。
このあとにドゥシャンベ唯一のバイクを扱っている工場に持っていってエアフィルタをエアコンプレッサーで掃除してもらおうと思っていたのですが、交通量の多い街中をバイクで走るのが億劫で、何だかんだでバイク屋に持っていったのが夕方16時くらいになってしまいました。
しかし、これが思いもよらない偶然を生むのでした。
バイク屋に入ると、そこに見慣れた先代テネレがいるではありませんか?!

「マイケル!!」
「ワォ!ヒデ!!」
なんとそこにはホログで別れた(私が置き去りにした)マイケルがいるではありませんか!必ずもう一度どこかでマイケルには会えるはずって思っていましたが、まさかこんなにも早く再会できるとは思っていませんでした。
私:「もうドゥシャンベに着いたの?バイクは大丈夫なの?」
マイケル:「実はさ、ホログじゃやっぱりバイクの修理は不可能ってことで、昨日バイクをトラックに積んでちょうど今ここに着いたところなんだよ。昨日の14時にホログを出て26時間ノンストップでここまで来た。全く悪夢だよ」
私:「そうだったんだ。大変だったね(;´д`)。アントニオはどうしたの?」
マイケル:「一昨日の時点で俺のバイクの修理が不可能ってわかったから、アントニオには先にホログを出発してもらったんだ。今ちょうどドゥシャンベに向かってるはずだよ。今日にでも着くはずだ」
まさかそんなことになるとは全く想定していませんでした。アントニオには一人ぼっちにはしないなんて言っておきながら結局一人にしてしまいました。
きっと不安なまま出発したことでしょう。幸いだったのが想定していたよりもホログからドゥシャンベまでの道がそこまで酷くなかったということです。
マイケル:「ヒデ。このあと時間はあるか?もし良かったら飯でも食おうじゃないか。この目の前にある食堂がなかなか美味いらしいぞ。オートバイはここに停めておいて良いって言ってくれてるし」
もちろんということで、マイケルと二人目の前のレストランに行くことにしました。
アントニオにはドゥシャンベにあるバイクハウスというオートバイを扱っている工場の目の前の食堂にいると連絡だけ入れておきます。
ちょうど我々の食事が終わった頃、聞きなれた陽気な声が聞こえてきました。
「へーい!パミールチーム!」
「おお!アントニオ!!」
アントニオが無事ここドゥシャンベに到着しました。

まさかこんなに早く再会できるとは!
裏切るような形でホログを離れてしまい、もう一度ちゃんと二人には会いたいと思っていたのがこんなにも早く実現するとは思ってもいませんでした。
少し心配なのがマイケルもアントニオもここしばらくお腹の調子がずっと悪く、アントニオに至ってはこの日も食事はスープを昼に摂っただけで、夜はいらないと言っていたことでした。
でも何はともあれ無事三人ともパミールハイウェイを走り切り、ここドゥシャンベで再会できたことは本当にうれしい限りです。
あとは体調不良のまま出発していったダニエルと相方のアルティナがどこでどうしているのかは心配ではありましたが、彼らの力強さならきっと無事に素敵な旅を続けていると信じてこの日は終わっていくのでした。
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