9/14(土)東京出発98日目、カザフスタン2回目4日目 アティラウ
前日、私を宿まで案内してくれたアティラウのバイカーズクラブの方がお昼ごろに宿に来てくれました。
というのもウズベキスタンからカザフスタンに向かう道でまた私のサイドケースのステーが折れてしまっていたので、それをなんとかしたいと彼らに相談していたからです。

今度はこんなところが(;´д`)
粕谷さんのオートバイが壊れてしまったときもいろいろと奔走してくださったようなのですが、粕谷さんは彼らに対して非常に手厳しいです。
「彼らは時間も何も適当だから。平日の昼間からいろいろ手伝ってくれたけど、どうせ仕事放っぽり出して来てるんだよ。仕事も何も緩いんだよ。」なんてことを言います。
本当にクソヤローです。

本当にクソヤローです。

自業自得です。
※こんな風に粕谷さんのことを悪く言ってみましたが、きちんと時間をかけてこの男の人となりを知れば、全く悪気の無い人だと言うことがわかります。単に思ったことを口にしてしまうだけなのです。むしろ正直に「孤独だった」とか「不安だった」とかも口に出したりもするので憎めないのです。だからこそ、洋介さんも私も粕谷さんのことはなんだかんだで気にかけていたんでしょうね(^_^)
私も彼らが昼くらいに宿に来てくれると言っていたのに、なかなか来ないことに業を煮やして、「昼飯食いに行きましょう。戻って来ても彼らが来なければ自分で適当に溶接してくれるところを探して行っちゃいます。」なんて恩知らずなことを言ってしまいました。
今考えれば、本当にとんでもない恩知らずですね…。
粕谷さんと昼食を取って宿に戻ると、ちょうどそのタイミングでライダースクラブの方が来てくれました。
よし、それでは行こうとなったのですが、私が事前に調べていた溶接工場とは違う場所に向かいます。
どうやら自動車の工場のようです。
彼らの仲間の一人がここで働いているようで、ここで溶接をしてくれるようです。
ここで働いている彼はアメリカの大学を卒業したそうで、英語は大変堪能です。

オートバイに乗ってるくらいですから相当なエリートなのでしょう
彼も私のオートバイを見て羨ましいと言います。そして、もしできることならば自分もオートバイで世界中を回ってみたいけれど、そんなお金も時間も無いから自分には無理だと言います。
私はこの旅をしていて世界中を走るたくさんのライダーに出会っていたので、自分が特別なことをしているという感覚が薄れていましたが、普通に考えてみれば実際にそれができる人間なんて世界中のほんの一握りの人だけなのだと改めて気づかされました。
特に彼らはオートバイを手に入れることすら非常に困難です。例えオートバイを買うお金を持っていたとしても、そもそもオートバイを取り扱っているお店が無いので買うことができないのです。
彼らはオートバイに関わるものの全て(本体だけでなくパーツもウェアも)をインターネットで一生懸命探してやっとこさ手に入れているようです。
そして自身のオートバイを指さし(彼はスズキのジェベルに乗っているようでした)、「日本のオートバイは本当にすごいよ!まるで泳ぐみたいにスイスイ走り回るんだ」って目を輝かせて話します。
日本にいれば日本のオートバイを買うことはお金さえ出せればすぐにでもできますが(もちろん状態の良い中古車を探そうとすればそれなりに大変ですが、彼らの大変さの比にならないと思います)、彼らにとっては本当に貴重なものであり、だからこそライダー同士一生懸命助け合うのでしょう。
そして私のようなツーリストに対しては、自分たちができない夢のようなことをしていると感じ、精一杯サポートしてくれるのだと思います。
旅をスタートして3か月が経ち、旅にも慣れてきて(というかパミールハイウェイを終えて燃え尽き症候群気味になってしまい)ダラダラと過ごす日が続いていましたが、もっとこの時間を大切にしなければいけないと改めて感じさせられました。
溶接をしてくれている間もコーヒーを振舞ってくれたり大変親切にしてくださり、作業が終わってお金は幾らか聞いても、大したことでは無いからお金は受け取れないと言います。


こんなにも優しい彼ら。
もし彼らが本当に望むのであれば、いつの日か彼らも世界中をオートバイで旅ができる世の中になったら良いなぁと強く感じます。
そしてそのときになって、もし彼らが日本に来ることがあれば、彼らが私にしてくれたように私も彼らの力になれたらとても幸せなことです。


日立のカザフスタン法人に勤めているということでしたので、やっぱりエリートなのでしょう
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