チェチェンへの道を探る

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9/16(土)東京出発100日目、ロシア3回目2日目 アストラハン

ロシアから陸路でジョージアに入るためにはチェチェンやイングーシといった世間で危険と言われている地域を通過して行くしか道がありません。

あまりにも危険と言うのであればルート変更も視野に入れなければならないということで、一日アストラハンでの滞在を延長し、そのあたりの情勢の調査をすることとしました。

外務省のホームページによるとこれらの地域は「危険レベル3 渡航は止めてください」となっています。陸路でロシアからジョージアに入るためには危険レベル3の地域を通過せざるを得ません。

朝起きてインターネットで日本語でこれらの地域について検索をかけると厳しい情報や意見しか出てきません。

「ロシアで最も危険な地域」

実際に旅行したという人もいらっしゃるようですが、それに対してもかなり厳しい意見が飛び交っています。

「危険と言われていてなぜ行くのか?」「自己責任と言っても、何かあればあなた個人の問題だけでなく、たくさんの人たちに多大なる迷惑をかけることが何故わからないのか?」

ウーム、手厳しいですね…。

少し調べた後、朝食も取っていなかったことと、気分が少し沈んだことから朝食兼昼食を摂りに外出します。

ここアストラハンはとても綺麗な街並みのため、いろいろと散歩しながらこれからのことを考えます。

何やら徒競走のようなことをやっていました
ロシアでは時折、このようにスポーツテストのようなものを公共の場所でやっています

ジョージアは諦めて、このままロシアを西に向かいそのままヨーロッパに入るか?そうすればモスクワにも寄れるので、ダニエルとアルティナのところにも行けるな?でも、やっぱりできることならジョージアやトルコには行きたい…。

そんな風に考えながら歩いていると道端にYAMAHA MT-10に乗ったイカツイ兄ちゃんがこちらをチラ見してきました。

イカツイMT-10乗り

目が合ったので「Hi」と手を上げると、向こうも「Hi」と返してくれます。

見た目がイカツイのでどうしようかなとも思ったのですが、このままジョージアにも入れないとなると、できることならこの街でエンジンオイルの交換をしておきたいので、思い切って声を掛けてみることにしました。

私:「英語は話せますか?」

兄ちゃん:「少しなら」

私:「私はバイクで旅をしています」

兄ちゃん:「恰好を見てそんな感じかなと思った。どこから来たの」

私:「日本だよ」

兄ちゃん:「わぉ!俺のバイクも日本製だぜ!それでどうしたんだい?」

私:「エンジンオイルの交換をしたいんだけど、この街でどこかエンジンオイルの交換をできる場所はないかな?できればバイク用のエンジンオイルが手に入ると嬉しい。買えれば自分でやるけど、その場合は古いエンジンオイルを処分できる場所を教えてほしいんだ。」

兄ちゃん:「まかせろ!この街に信頼できるバイクショップがある。俺が案内してやるから心配するな!俺の名前はアレクサンダー。ところでお前のバイクはどこにあるんだ?」

私:「俺の名前はヒデ。バイクはこの近くの宿に置いてあるよ」と言って地図を見せます。

アレクサンダー:「すぐ近くだな。よし、俺の後ろに乗れよ!でも気をつけろよ。俺のライディングはクレイジーだからな!」

このイカツイ体でクレイジーな運転とか言われるととても不安になりますが、実際はとても丁寧に運転をしてくれました。

私のオートバイを見て、「ずいぶん汚れているな。そのバイクショップなら洗車も100ルーブルくらいでできるからやってもらえよ。でもまったく日本から来たってとんでもねぇクレイジー野郎だな」と言います。

アレクサンダーの後ろを走ってバイクショップまで案内をしてもらいます。

先ほどニケツしたときは丁寧な運転だったのですが、後ろに人を乗せいていないと本当にクレイジーな運転をします。

前に車がいるのに公道で思いっきりウィリーをしたり、周りの車を煽ったりちょっと恐いです。

案の定、後ろから追い越して行った車にクラクションを鳴らされました。するとアレクサンダーはその車を猛追して隣に付けると、車の中を覗いて怒鳴り散らしています。

おいおい、勘弁してくれよ。そのイカツイ見た目でそんなことされたら恐いでしょ。って言っても相手もロシア人ですからどうせ車の運転手もイカツイでしょうけど…。

バイクショップに着くと、みんなフレンドリーに私に接してくれます。

HAND MOTOという名前のお店のようです

日本から来たということで、やはりみんな私に興味深々のようです。

このお店、品揃えも良さそうです。

ただ金額はあまり安くはありませんでしたけど。

せっかくなので、これからチェチェンの方に行きたいのだけれども、実際問題やっぱり危険なのかどうかを聞いていました。

すると意外な返事が返ってきました。

「世間では危険危険って言われているけど、実際は全くそんなことないんだよ。むしろこの辺りよりも安全なくらいさ。

俺も先月チェチェンにツーリングに行ったけど、街は綺麗だし、警察官や軍がしっかり取り締まりをしていて、治安はすこぶる良いよ。

チェチェン人はイスラムの教えに則って旅人を非常に大切にしてくれる。彼らは今、たくさんの旅行者に来て欲しがっているんだ。

10数年前までは紛争があって大変だったけど、今ではこんなに平和になったんだっていうことをもっとたくさんの人たちに知ってほしいと思っているんだよ。

なのに噂だけが先行して、危ない、危険だなんて情報が出回ってしまって、彼らは悲しんでいるんだ。

もし行けるなら行ってあげて欲しい。今のチェチェンの本当の姿を見ることができるはずだよ。」

ただ、こうも付け加えていました。

「ただしこれはあくまでも噂だけれど、都市部はとても安全だけれども、山間部にはいまだにゲリラが潜んでいるという噂もある。なのでもしグルズヌイに行くなら、キズリャルから山間部を抜けてグルズヌイに入るのではなくて、100kmくらい遠回りになってしまうけど、ハサブユルトを経由していくと良い。この道なら車通りもたくさんあって安心だ。

実際問題気を付けなければいけないのはゲリラよりもむしろ警察や軍のほうかな。今でもやっぱり彼らは治安に対して敏感にはなっているから、少しでも怪しい行動とみなされると、旅行者であっても非常に厳しい取り調べを受けることになるみたいだ。まぁ、でもそんなに神経質になるようなことでもないけどね。」

この話を聞いて、やっぱり実際に行って自分の目で確かめないとわからないことってたくさんあるんだなと思いました。

もちろんその地域の情勢はときどきですぐに変わっていってしまうものではあるので注意するに越したことはないとは思うのですが、行ったことも無ければが実際のところがどんななのかわかりようがあるはずがありません。

チェチェンのことにしたって、誘拐事件などが発生しているなんて言っても、では日本で全くそういった事件がないかと言ったらそうではありません。

日本でも毎年何万人という人が行方不明となっています。その大半が本人による家出だと言われていますが、そのうちの数千人は実際に失踪者であるとも言われています。その数字を見れば何らかの事件や事故に巻き込まれて姿を消した人はいるはずです。

チェチェンで起きたという誘拐事件が統計的にどれくらいなのかは不明ですが、ただ単に10数年前まで紛争があって、現状を見ることもせずに危険だというのは浅はかな考えのような気がします。そしてそのことで現地の人たちが悲しんでいるならなおのことです。

もちろん危険なら危険でしっかりとした情報発信が必要ですが、そうでないものまで危険だというのは、仕方ないのかも知れませんが、なんとかならないものかとも思ってしまいます。

2か月前に奥さんとタンデムでチェチェンに行ったという人もいて、アストラハンからグルズヌイまで500kmちょっとの間に宿がなかったので途中キャンプしたけど全く問題なかったという人もいました。

さすがにそれはどうかとも思いますが、車通りも多く、治安は大変良いということは確かなようなので、私もチェチェンを経由してジョージアに行くことにしました。

開かれたジョージアまでの道。

パミールハイウェイを走り終えて、イラン入国も諦め、少し旅に対する気持ちが落ち込みかけていましたが、この情報が私の心に一筋の光明をもたらしてくれることとなりました。

アレキサンダーと一緒に
ステッカーをあげたらビックリするくらい喜んでくれました\(^_^)/
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