9/18(水) 東京出発102日目、ロシア3回目4日目、ジョージア1日目 グルズヌイ~カズベキ 走行距離206km
本来ならチェチェンという地域についてもう少し知りたかったのですが、不要にうろついて警察に捕まったりするのも嫌なので早々に出発することにしました。
オートバイで走っていても警察の検問が多いと聞いていたのですが、朝の早い時間だったためか、そのようなこともありませんでした。
軍の検問所もスルーパスでした。
ロシアからジョージアの国境に近づくにつれ景色も雄大なものになっていきます。

ジョージアも旧ソ連圏ということもあり、国境は楽に通過できると聞いていたのですが、なぜか私の場合、簡単にいきませんでした。
いつも通りパスポートとオートバイの登録証を見せます。
するとこの旅で初めて国境で運転免許証を提示するように言われました。国際免許証を見せると、今度は日本の免許証も見せるように言われます。
担当官が何度も私の運転免許証を見て、しまいには端によけてしばらく待っているように言われます。その間に後ろに並んでいた人たちを先に処理していきます。
他の担当官が私のパスポートや運転免許証を何やら調べています。
何があったのでしょうか?不安です。
15分くらいすると最初の担当官が私を呼び「名前は?」と聞きます。
名前を答えると笑顔になり、「これで終わりです。行っていいですよ」と言ってパスポートなどのドキュメント類を返却してくれました。
一体なんだったのでしょうか?
でもまあ、何事もなく通過できたので良しとします。
この日は当初の予定としてはジョージアの首都トビリシまで行く予定でした。
というのも私はジョージアに行きたいと思っていながら、ジョージアについてほとんど何も調べていなかったため、一旦トビリシの安宿に行ってしばらくそこに滞在して情報を集めようと思っていたからです。
しかし聞いてはいたのですがジョージアは雄大な自然が大変美しいです。モンゴルやキルギスにも引けを取らない素晴らしい景色が続いていきます。

ここで自動車保険に入ります。
ジョージアは自動車保険の加入が必須で、もし入っていないと出国時に罰金を取られるので注意(>_<)
モンゴルもキルギスも雄大な景色が広がり、特にキルギスのソンクルなんて忘れることのできないほど美しい場所でしたが、ジョージアの景色はそれとも少し違ってこの景色の中にいると何故か安堵するようなそんな印象を受けました。
これって一体どうしてなのだろうかと思ったのですが、その答えにはすぐに気づきました。
ジョージアの植生が日本に非常に似ているのです。ジョージアの森林の中を走っていると、日本の田舎道を走っているような錯覚に陥るのです。
やはり人間はどうあっても結局は自分の生まれ故郷に親近感を覚えるのでしょう。
国境を越えて数十キロも走ると何やら数台のバスや車が停まっている駐車場を見つけました。
私もそこに停車して地図を確認してみると、これより先の山道を登って行くと教会があるようです。後で調べて分かったことなのですが、この教会は標高2,000m以上の高さにあり、天国に一番近い教会と呼ばれているそうです。
正式な名称は「ツミンダ・サメバ教会」という名前のようです。

考えてみるとこの旅でイスラム教のモスクは見たことはありましたが、キリスト教の教会を見たのは初めてでした。
たくさんの観光客が訪れていましたが、中では礼拝も行われていて写真撮影も禁止されていました。
観光客が多いのでうんざりするものかと思っていたのですが、決してそんなことはなく、私はこの場所が気に入りました。


再び山を下り、少しバイクを南に走らせると少し大きめの観光者向けのレストランが立ち並んだ街にたどり着きました。
こういう雰囲気の場所で食事をするのはウズベキスタンのブハラ以来二度目でしょうか?
少し割高になりますし、私個人としては観光客向けのレストランよりも地元の人たちが行くお店の方がその土地の雰囲気を感じられて好きなのですが、たまにこういったところで食事をするのも楽しいですね。
ジョージアはワイン発祥の地とも言われていて、皆さんが普段口にする樽で作るワインとは少し製法が違って、床に埋めた壺で作るワインがあるのですが、ぜひともそれを飲んでみたいと思っていました。
しかし、オートバイでの旅行の場合、ランチにお酒を飲むことができないのがたまに辛いと感じます。
こういった一般の観光客が多い場所ですと、オートバイでの旅行者は珍しいらしくたくさんの観光客から声を掛けられます。
一人のドイツからの観光客であるという老婦人は私に大変関心を持ったらしく、日本からどこをどう走って来たのかや、これからどこに行くのかと言ったことをたくさん質問してくれました。そして、周囲にいる一緒に来ていたと思われる同年代の旅行者たちに私を指さし逐一説明しているようでした。
この辺りの地域はカズベキと呼ばれる地域だそうで、東に行くとジュタという名前の美しい村があるという話を聞いたので、トビリシに行く前にそちらに行ってみることにしました。
パミールハイウェイを走ったあともダートを走ることはあったのですが、それらは工事中の区間であったり、単に街中の悪路でしかありませんでした。
今回このジュタに続く道は久しぶりに大自然の中を走るダートで非常に気持ちが良いです。

ジュタには一時間ほどで到着したのですが、そこは予想していたものとは違い、ゲストハウスが立ち並ぶ観光地でした。客引きがしきりに私に手招きしているので、少々うんざりして元来た道を引き返すことにしました。
しかしジュタへと続く道は大変美しいです。途中少し開けた場所で通りから少し隠れられる場所を見つけます。
オートバイをその場所に走らせて停車します。
山に囲まれたその場所から見上げる空は何て濃い青色をしているのでしょうか?

あまりにもその空が青かったので、トビリシに行く予定を変更して、この日はここでキャンプをすることにしました。
テントを張りコーヒーを淹れます。

このひと時って本当にたまりません。

もう9月も下旬に差し掛かろうかというこの時期、標高も高いこの場所は夜は冷え込みます。
夜中に尿意を催しテントの外に出てみると、そこには天の川の流れる満天の星空がありました。
そういえばモンゴルで悩んでいたときも、夜中にテントの外に出て見上げた星空が私を勇気づけてくれました。
日が沈むころに飲んだコーヒーと、このときにまさに見ている星空が再び私に前を向く力をくれたように感じ、先ほどまで寒いと思っていたひんやりした空気も心地よく、再度眠りに落ちていくのでした。
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