9/23(月)東京出発107日目、ジョージア6日目 トビリシ~アハルツィヘ 走行距離201km
初日にカズベキ、前日にシグナギに行き、私にとってジョージアは大変癒しを与えてくれる国でした。
さて、この先どこに行こうかとというところです。
北の山の方に秘境と呼ばれるような地域があるようなのですが、既に9月も下旬に入り、この時期は雪の影響で通行止めになることも多く、例え通れたとしてもこの時期になると道路状況が悪く大変危険だということでした。
どうやらこの地域は10月には完全に閉鎖されてしまい、他の地域との交流も一切断たれてしまうので春までの間は住人も全て街に降りて生活するということです。
もう10月まで一週間であることと前々日にはそちらの地域では雪が降ったということで、これらの地域に行くのは厳しいと思い諦めることにしました。
宿の他の宿泊客にアルメニアはとにかく人が良くて良い国だよと教えていただいたのですが、特に何があるというわけでも無いようで、また、アルメニアからトルコに抜ける道が無く、結局アルメニアに行っても再度ジョージアに戻ってくる必要があるということでしたので、そちらも行くのはやめました。
であればジョージアを黒海まで西に抜けてそこからトルコに入ることにしようという結論に至りました。
トビリシから西のアハルツィヘという町にあるラバティ城は見てみたかったので、この日はアハルツィヘに行くことにしました。
私は普段、田舎町に行くときは宿の予約はしないで行くことが多いです。
というのも良さそうな場所があればキャンプをしたり臨機応変に対応できるようにするためです。
しかしこのときは何故か事前に宿の予約をしてから行きました。
走り始めるとやっぱりジョージアの道は素敵で走ってて気持ちが良いです。

あまりにも景色がキレイなので「失敗したなぁ、宿の予約しなければどこかでキャンプできたのに」と少し後悔しました。後にこの日出会う宿が私にとってとても素敵な場所だったことからこの考えは後程吹き飛ぶことになるのですが。
アハルツィヘに向かって走っていると左手に崩れかけのお城のようなものが少し離れた所に見えました。

この旅に出るまで私自身全く知らなかったのですが、私は西洋の古いお城に興味を示すようです。
せっかくなので脇道に逸れて行ってみることにしました。
前日のテラヴィからの帰り道で見つけた崩れかけたお城と違って、このお城には登れないようです。
どうやら解体工事をしているようでした。
上から人が手でレンガを壊して下に投げ捨てています。

人の手で簡単に壊せてしまうものですので、風などでも簡単に崩れ落ちてしまうのでしょう。安全を考えたら早めに取り壊すのは仕方のないことかもしれません。
すると私がオートバイを停めたすぐ横をバスが通り過ぎました。
中に乗っていた驚くほどの美少年が私に手を振ってきました。
まるで西洋の田舎町を舞台にした映画のワンシーンのようです。
こんなちょっとしたことも私の心を癒してくれます。

ここからラバティ城まではあっという間でした。
お城自体は観光地化されてしまってはいたものの、それでも中に入るとドラクエのような世界が広がり楽しいです。

お城の中を歩いていると後ろからイケメンの西洋人に声をかけられました。
イケメン:「表に停まってるテネレ、君の?」
私:「そうだよ」
イケメン:「わぉ!俺もテネレに乗ってるんだよ!どこから来たの?」
私:「日本だよ」
イケメン:「じゃ、もしかしてパミールハイウェイも走ってここまで来た?!俺も5年前にオランダからパミールハイウェイまでテネレで往復したんだよ!これからヨーロッパには来るの?オランダに来ることがあれば泊めてあげるから是非連絡ちょうだいよ!」
このイケメンの名前も聞いたのですがうまく聞き取れずに名前はわからないままだったのですが、連絡先と共に大変貴重な情報を私にくれました。
私はアフリカにはスペインからモロッコに入る予定ではいるのですが、それはやむなくそうしているだけで、もし可能であればエジプトから東側を走りたいと思っています。
アフリカの西側は細かい国が多く、ビザの取得が大変面倒で、特に北西部の国々は旅というより日本の常識が全く通じない大使館巡りになるということでストレスフルなことと、情勢もコロコロと変わり、昨日まで通れた道が急に通れなくなったり、内戦が急に勃発したりと危険も多いためです。
しかし今のところオートバイでエジプトに渡る手段が無いのです。
もちろん東側に入れたとしても現時点でエジプトと特にスーダンの情勢が非常に悪いため、陸路で本当に通過できるかどうかもわからないのですが…。
ただ、この彼の情報によると、トルコのメルシンという都市から、レバノン、キプロス、イスラエルのいずれかに渡るフェリーが出ていて、そこからエジプトに入れるかもしれないと言うのです。
もしそれが本当なら大変貴重な情報です。
とりあえずジョージアの次にトルコに入ったらメルシンという街を目指してみようと決めました。
この彼と別れて城内を一通り廻った後、予約していた宿に行きました。
宿に着くと、そこは宿と言うよりボロボロの民家で、本当にここに宿泊できるか不安になるような建物でした。

しかし私が到着すると中から非常に明るい元気な高校生くらいの女の子が出てきてくれて「予約してくれてた日本人の方ね!\(^_^)/」と歓迎してくれます。
この宿にはお母さんと思われるご年配の女性とその息子さん夫婦および赤ちゃん、そして出迎えてくれた娘さんが住んでいました。

セシルちゃん
英語を話せるのは娘さんだけだったのですが、みんなとても親切で、全く知らない家族で言葉も通じないのに、ここはとても安らぐ空間でした。
部屋に入ると娘さんが「オプションで夕飯と朝食を付けることもできますけど、どうしますか?」と聞いてくれます。
お昼を中途半端な時間に食べてしまっていた私はあまりお腹が空いていなかったので、朝食のみお願いすることにしました。
さらには「ワインはいかが?」と自家製のワインを勧めてくれました。
グラスになみなみと注がれたワインは先日シグナギで購入したワインにも負けずとも劣らない美味しいワインでした。

舌と喉に微かにピリッとくる刺激はジョージアワインの特徴なのでしょうか?
本当に美味しいです。
ジョージアワインは日本人が知らないだけで非常に美味しいワインなのではないでしょうか?
それとも私が飲んだジョージアワインがたまたま非常に美味しいワインだっただけなのでしょうか?
中庭でワインを飲んでいると娘さんが「ちょっとこっちに来てみて。ここからラバティ城が見えるのよ。とってもキレイなのよ」と呼んでくれました。
丘の上というより崖っぷちに立つこの民家からは確かにラバティ城が大変美しく見えます。

夜はライトアップされます
ここにはのんびりした時間が流れ、この素敵な家族の日常を垣間見ることができます。
私はこの宿が心から好きだと思いました。
すでにラバティ城も見学し、このアハルツィヘという町に特段何があるわけでは無いのですが、ただもう少しこの宿の空気を感じたくて、もう一日滞在を延長しようと決めたのでした。
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