10/13(日)東京出発127日目、ブルガリア4日目、北マケドニア1日目 ソフィア~クリバハランカ 走行距離145km
ブルガリアは景色や街並みが美しく走っているだけでも十分楽しい国でした。それほど大きな国ではないのであっという間の滞在期間だったため、名残惜しさもあるのですが次に進むことにしました。


このまま北上してセルビアに入るのが順当な走り方になるのかとは思うのですが、私は西に進むことにしました。というのも、10月16日にアントニオがギリシャのアテネで知人と会うということでしたので、私もこのまま西に進んでアドリア海を北上していけばどこかでアントニオと出会えることもあるのではないかという期待があったためです。
そして、アドリア海沿いの道が大変美しいと言っていたのは他でもないアントニオだったのです。
ただ一つ残念に思うのがそのルートを取るとセルビアには立ち寄らないことになることです。なぜセルビアに対してそのような思いがあるのかというと、私が日本にいたときにやっていたオンライン英会話の先生にセルビア人の方が多く、たくさんのセルビア人先生にお世話になっていたので、セルビアがどんな国なのか一度見てみたかったという気持ちもあったからです。
しかしこのときの私にとっては、アントニオが言っていたアドリア海沿いの道がとても綺麗だということと、その道を走ればもしかしたらどこかでアントニオに会えるかもしれないということの方が大切なことに思えたのでした。
さて、この日目指すのは北マケドニアという国です。もともとは単にマケドニアという名前の国だったのですが、ギリシャ北部の地域がマケドニアと呼ばれていて歴史的にも重要な地域ということで、とりわけギリシャからの反発が強く、2019年5月に北マケドニアという国名に変わったということでした。
私もこの北マケドニアという国についてはほとんど知識もイメージもないのですが良い印象を持っていました。というのもオンライン英会話の先生で北マケドニアの方がいて、とても丁寧で優しく、また独特の素敵な雰囲気を持った方だったことからそのように感じていたのだと思います。
国境に到着すると、ブルガリアの国境も北マケドニアの国境もとてもフレンドリーで優しい対応をしてくれます。北マケドニアの国境で自動車保険を見せるように言われたためグリーンカードのコピーを提示したのですがここで問題がありました。
私の取得していたグリーンカードは北マケドニアをカバーしていなかったのです。でも担当官は優しくそのことを教えてくれ、すぐ近くの建物で北マケドニアの保険に入れるのでそちらで手続きしてから戻ってきてくださいと教えてくれます。
保険の手続きに行くとなんと最小単位のものでも15日間で50ユーロというバカ高い保険でした。しかしこれに加入しないと入国できないため仕方なくこの保険に加入します。恐らく北マケドニアの滞在日数も2~3日ですのでかなり割高な保険になるため、素直にセルビアに行っておけば良かったとこのときは思わなくもなかったのですが、後にここから進む道の景色の美しさを見て、十分に価値のあるものだと思えるのでした。

北マケドニアに入ってもブルガリアから引き続き美しい景色が続きます。
北マケドニアの国境を越えて、なぜこんな山奥にポツンと一軒だけ宿があるのだろうかという場所を事前に見つけていたので、好奇心でその宿を予約していました。価格も驚くほど安かったため正直期待はしていなかったのですが、実際に行ってみると良い意味でその予想は裏切られました。
素敵な宿にはおしゃれなバーも併設されています。山奥のため他にお店も無いのでバーが併設されていることは大変ありがたかったです。

しかも北マケドニアの物価はブルガリアよりもさらに安く、大変質の高い料理を圧倒的に安く食べることができます。
部屋に荷物を置いて私は早速ビールを注文して中庭で飲んでいました。
宿のオーナーさんと思われるご年配の男性の方は「日本人が来た!!」と言って大喜びでした。
この日訪れていた宿の他のお客さんに対しても、あそこに座っているのは日本人だぞ!と言って嬉しそうに自慢しているのが聞こえてきます。
私がビールを飲んでいるとそのオーナーさんがたくさんのリンゴを持ってきてくれ、美味しいから食べてくれと言ってくれます。
このオーナーさんは全くと言っていいほど英語は喋れませんでしたが、代わりに一人の若い従業員がそれなりに英語が話せたため通訳をしてくれ大変助かりました。
この宿は格安であり、料理も食べられて景色も綺麗だったため、もう一日この宿でのんびり過ごそうと2泊したいと伝えたのですが、残念なことに次の日はシェフが休暇のため料理を出せないので素泊まりになってしまうということでした。
この場所で素泊まりとなると数十キロ離れた町まで下りて行って買い出しをするか食事をするかしないとならないので、残念ですが1泊だけにすることにしました。
宿のオーナーさんが私に話しかけてくるのですが「サソリ、サソリ」と私には聞こえて何のことか最初はわかりませんでした。北マケドニアの景色を見るとサソリが出そうな雰囲気も無いので、もしかしたら北マケドニアでは何か象徴的なものとしてサソリが使われることでもあるのかな?と思ったのですが、ふとこの国の首都の名前が「スコピエ」ということを思い出し、「スコーピオン」ではなく「スコピエ」と言っていることに気付きました。
オーナーさんはおそらく私に首都のスコピエには行くのか?と聞いているのだろうと思い、「イェス、イェス」と答えました。実際には都市部は渋滞もしそうで嫌だったので行く気は無かったのですが、説明するのは大変そうだったのと、日本人である私に是非とも北マケドニアを楽しんでほしいと思っている気持ちが伝わって来たので、がっかりさせないようにとの私なりの気遣いでした。
夕食の時間になりバーで食事をしていると、昼間に通訳をしてくれていた若い従業員の方がやってきて、ご馳走するから「ラキア」を飲まないか?と勧めてくれます。
最初私には「ラキ」と聞こえたので、トルコの水を加えると白く濁る蒸留酒を連想したのですが、この地方にある「ラキア」は果物から作った蒸留酒であるようなことを言っていました(ブランデーと同じようなものという言い方だったので勝手に私がそう解釈しただけで実際には違うかもしれません)。
かなり強いお酒には違いませんが冷え込む夜にはありがたい一杯でした。
ラキアとビールでだいぶいい気分になり、暖炉の火で暖まり、北マケドニア初日の夜は幸せな気分で過ぎていくのでした。

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