12月1日(日) 東京出発時176日目、モロッコ9日目 ティンジル(トドラ渓谷)
ずっと悩んでいた北に行くか南に行くか?
やはり当初の予定通り南に進むことにしました。すでにナイジェリアのビザは旅の途中では取れないことはわかっているのですが、そこは船などで運ぶ手段があるという話を聞いているので八方塞がりにはならないことと、やっぱりこのまま引き返すことは私にとっては単に西アフリカから逃げ出すことのように思えたからです。
そうした場合にこのノリコさんのゲストハウスに何日滞在するかということも問題になってきます。

当初の予定としては2泊だけだと考えていたのですが、そうすると天気予報によると雨の中を二日間走行しなければならなそうです。現時点で急がなければいけない要素はなくなったので、少なくともさらにもう2泊はすることにしました。
ただ、モロッコからギニアあたりまではイスラム圏のため問題はないのですが、それ以降の国でクリスチャンが多い国に入ってからクリスマス期間とバッティングすると身動きが取りにくくなってしまいそうですので、比較的環境の良いモロッコかセネガルあたりで時間調整をしたほうが良いのかなどと考えています。
前日には私も含めて7人の宿泊客がいたこのノリコズハウスですが、この日一斉に5人の方が出発してしまい、大変さみしくなってしまいました。

この宿に残されたのは昨日私と同日にこの宿に来た独特な不思議なリズム感の眼鏡の女性と私だけでした。
この方は仕事を辞めていろいろと旅をしたいと考えたようですが、今回はとりあえずモロッコだけを2週間だけ旅行するそうです。
私がバイクで旅をしていると言うと、大変なこととか怖かったこととかありませんでしたか?と質問されました。
もちろんモンゴルなど大変なこともありましたが、このときふと思い出したのがキルギスで警察に停められた時のことでした。
ねちっこい性格の私は今でもあのことを思い出すと腹立たしくなるのですが、その話をしたときにこの眼鏡の女性は私にこう言いました。
「でも、きっとそれも意味のあることだったんじゃないですか?例えば、それが無ければ出会うはずだった人に出会わなかったとか」
振り返ればまさにその通りでした。
あの日、あのことがなければ私はマイケルに出会うことはありませんでした。サリタシュの町に着くのがまさに10秒ずれていただけでも私はマイケルに出会うことは無かったでしょう。そしてそれがあったからこそダニエル、アルティナ、アントニオとも一緒にかけがえのない時間を過ごすことができたのです。
そのことを考えると今まで私が経験してきたことの全てが愛おしく感じました。
そんな話をしていると、この日出発したメンバをティンジルの町まで送って行った宿の方が戻ってきました。
…、あれれ?この日出発したはずの女性がなぜか一緒に戻ってきたのです。
この方はこのままカサブランカまで行って、そのまま南アフリカに飛ぶと言っていたのですが、確かに出発前にはまだモロッコを離れたくないと言っていました。このノリコズハウスが大変気に入っていることと、トドラ渓谷はロッククライミングの絶好のスポットであり、彼女はボルダリングやロッククライミングに嵌っていたので、もっとやりたいということを言っていたのが遠目に聞こえていました。
しかし、まさか本当に戻ってくるとはΣ(・□・;)
そしてここに一か月滞在して気が済むまでボルダリングをするそうです。
彼女は言いました。
「たくさん迷ったけど、決めた後にどうするかが大事だと思うから」
私も北に戻るか南に進むか散々迷った挙句、南に進むと決めました。このことに正解はないでしょうが、南に進むと決めた以上、この先私がどう旅を続けていくかということの方が、どちらに進むかよりもずっと大切なことであることは間違いありません。
そして、この戻って来たアンナさんという女性を含め、数日後にこの宿で出会う方々とかけがえのない時間を過ごすことになろうとはこのときは夢にも思っていませんでした。
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