頑張り切れなかった男と、ずっと戦い続けてきた女性戦士

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12月4日(水) 東京出発時179日目、モロッコ12日目 ティンジル(トドラ渓谷)

この日は天気が大変良く、朝食を済ませると近くの川に洗濯に行きます。ここトドラ渓谷は朝晩は冷え込みますが、日中はカラっと晴れて大変気持ちが良いです。

川に洗濯に行きます
川の水、スゴくキレイです\(^_^)/

宿に戻るとアキト君がすでにノリコズハウスに戻ってきていました。そしてもう一人アキト君がサハラ砂漠で出会ったという日本人女性ツーリストも一緒にいました。

私は最初この女性ツーリストのことをまさか私が知っている方だとは思ってもいませんでした。

アキト君にお帰りと挨拶をすると、「一緒に来た女性、○○(競技名)の○○さんですよ」と伝えられました。

驚いたどころではありません。私の最も尊敬する競技のうちの一つのトップアスリートだったのです。

リビングに行って挨拶をしますが、恐れ多くて話しかけるることなんてできません。向こうからしたらプライベートで来ているので普通に接してもらった方が良いだろうことはわかるのですが、私からしたらそれはとんでもないことなのでした。

 

少し時間をおくと、その女性アスリートはここでロッククライミングをしたいということでアンナさんと一緒に出かけていきます。アキト君もそれを見に行くと言います。

私は宿でゆっくりしようかとも思ったのですが、やはり少し気になるので見に行くことにしました。

 

ロッククライミングスポットに向かう途中で、サンダルで来ていたアキト君が水たまりに足を突っ込んでしまい、このまま行くと足先が冷えてしまうのでやっぱり戻るということで帰って行きました。

 

ロッククライミングではまず始めにアンナさんが先に上って崖の各地点にカラビナを付けてロープを通していきます。

サスガはロッククライミングをするためにしばらくここに滞在すると決めたアンナさんです。ヒョイヒョイ全く簡単そうにあっという間に20m上の到達点まで登ってしまいます。

次はその女性アスリートです。日本では何度かボルダリングをやったことはあるということでしたが、ロッククライミングは初めてということでした。

「むずかしいー」なんて言いながらいとも簡単に彼女も上まで登ってしまいました。

そんな風にしながらヒョイヒョイ上まで登ってしまうアンナさんとその女性アスリートの姿は圧巻でした。

私はというと単に下から見ているだけで首が痛くなるばかりでした。

 

アンナさんはまだまだ登るということでしたが、女性アスリートは20m と30m のコースを何本か登ると十分満喫したということで、体を冷やさないように私と一緒に宿に戻ることにしました。

 

宿に戻る途中いろいろと話をします。

 

私はその競技のトップ選手がどれだけ超人的なのかを少しは知っているつもりだったのでどんな人なのかと思っていましたが、一緒に話をしていると、我々一般人と同じような悩みを持ち、音楽やかわいい雑貨などに興味を持つ本当にごくごく普通の20代の女性であるということがわかりました。

 

私が彼女の競技について少しは知識を持っていたので、彼女もそのことについて話をしてくれます。

ほんの少し前(私が日本を出発する前)に彼女の周りで大きなゴタゴタがあったことは連日ニュースにも取り上げられていたので当然私の知るところでもありました。

彼女のかなり近いところで起きたことなので、精神面も含め間接的に影響を受けるのは致し方なかったことだとは思うのですが、実際には彼女本人に対しても謂れのない誹謗中傷がたくさんあったことを知り、驚いたのと同時に悲しく思いました。

どうしてそんなことになるのでしょうか?彼女の実績を知っていれば、あのニュースを聞いても彼女が非難される要素なんて全くないのなんてすぐにわかることです。

目の前にいるこの小さな女性がそんな苦しい思いをしたことを聞いて、ただただ怒りがこみ上げてきました。

 

その事件があり、彼女は大会への出場は辞退した方が良いのかと上の人に相談していたということを後に私はインターネットで知りました。

しかし実際には、そこまで精神的に追い込まれているにも関わらず、逃げることなく試合に出場し、彼女はきちんと結果を残していました。「試合が終わると彼女は両手で顔を覆って崩れ落ちるように涙を流した」という記事を読むと、彼女のその強さと頑張りが、私の中で勇気と言う名前の雫に姿を変えて頬を伝わりました。

 

私が何事においても中途半端なのは今まで何事においても頑張り切れなかったからだと思います。彼女は頑張って頑張って頑張って歯を食いしばって戦い抜いてきたからこそ、どんなに苦しくても決して逃げることなく一流になれたのだと思います。

 

屈託なく少女のように笑うこの小さな体の一人の女性のエネルギーに触れて、私も苦しくても逃げてはいけないと思うのでした。

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