噓つきの国

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12月19日(木)東京出発194日目、モロッコ27日目(西サハラ4日目)、モーリタニア1日目 バルバス~シャミー 走行距離 285km

この日は遂にモロッコからモーリタニアに入国する日です。

朝、ルイスさんに挨拶をします。すると一緒に記念撮影をしようじゃないかとお誘いくださいます。

宿の方にお願いして一緒に記念撮影をしました。

記念撮影!

バルバスからモロッコの国境までは90km弱ですので、一時間程度で国境に到着しました。

たくさんのトラックが並んでいますが、普通自動車とバイクは前に行くように促されます。

どこに行けば良いのかわからずフラフラしていると周りにいた係の人が丁寧に案内してくれました。

とりあえずバイクを停めると、前にいた自動車の黒人が何やら話しかけてきます。フランス語なので何を言っているのかわからないのですが、どうやらドライバー(ねじ回し)を持っていないか?と聞いているようでした。

私は荷物を降ろしてサイドケースの中に入っている工具箱を取り出し、そこからドライバーセットを彼らに渡しました。

すると近くにいた係の人がパスポートに出国印はもらったのか?と聞いてきたのでまだだと答えると、あそこで貰って来いと言います。

工具を渡したままここを離れたら持っていかれてしまうのでは無いかと心配だったのですが、彼らもまだまだ時間がかかりそうな雰囲気だったのでその間に行くことにしました。

 

出国印をもらう場所にはたくさんの人で溢れかえっていて並んでいないのでどうしたものかと思っていたのですが、近くにいた男性が「パスポートは窓口に出したのか?」と聞いてきたので、パスポートを手に持ってまだだと答えると、それを取って代わりに窓口に出してくれました。

彼らは並んではいませんでしたが、窓口に積まれているパスポートの山の一番下に自分のパスポートを置いて行く仕組みのようです。

誰もズルをすることなくきちんと順番を守っています。

 

たくさんの人がいたので時間がかかるかと思っていたのですが、一人一人の処理自体はそれほど時間がかからず、ほんの数分で私の番になりました。

しかし何故か私の番になると手続きが全然進みません。

何か私に問題があるのかと不安になっていたのですが、どうやらネットワーク障害が発生したらしく、手続きができなくなってしまったようです。

ここからが大変でした。いくら待てど暮らせど一向にネットワークが復旧する気配がありません。

途中、係の人が作業を開始したので復旧したのかと思ったのですが、やっぱりダメだという風に係の人が首を振りました。

ただでさえ人で溢れていたその場所が、このような事態になり大変なカオス状態になっていました。

他の人もどうなっているのか気になるようで窓口の中を覗きに来るので、もう窓口に近付くことすらできなくなりました。

しばらくするとネットワークが復旧したようで作業が開始されたようです。私のパスポートはやっと処理されたようですが窓口に近づくことができず取りに行けません。

しかし、日本人はその場に私一人だったので、バケツリレーの要領で私の手元にパスポートは届けられました。

 

さて…。工具を貸した彼らはどうなったでしょうか?だいぶ時間が経ってしまったので、もしかしたらもういないかもしれません。

場合によってはそのまま工具を持っていなくなってしまったかもしれません。

そんな風に彼らを疑っていたのですが、バイクの所に戻るとなんと彼らは私のことを待ってくれていました。

そして「ありがとう。助かったよ。君はセネガルまで来るかい?僕らはセネガル人だからセネガルで何か困ったことがあったら連絡頂戴」と言って貸していた工具を手渡すと去って行きました。

疑っていた私が恥ずかしくなりました。

あとから見たら貸していた工具のうち一つが無くなっていたのはご愛嬌ではありますが…(こういうのは一つなくなるといざというときに不便なんですけどね…)

 

あとはモロッコ入国時にもらったオートバイの名刺大の一時通行証にサインをもらうだけです。

係の人が見当たらなかったのですが、ここも周りにいる人がサポートしてくださり手続きを終えることができました。

モロッコ入国前は散々モロッコの悪い話を聞いていましたが、観光地に行かない限り親切な人も多く、私にとってはなかなか過ごしやすくて大変良い国だったなぁという感想です(特にメルズーガからトドラ渓谷にかけてはノリコさんのサポートがあったことが大変大きかったのは間違いありません)。

 

さて、モロッコの国境を超えるとたくさんのガイドが声を掛けてきます。

ルイスさんには誰に頼んでも変な奴はいないから大丈夫だよと言われていたので、最初に声を掛けてきたガイドにお願いすることにしました。

すると車で先導するからここで1分だけ待っていろと言います。

すぐにそのガイドは車に乗って来て後ろを走ります。

確かにこのモロッコとモーリタニアの緩衝地帯は道がなくなったのですが、モーリタニアの国境に向かう車はたくさん走っているので、そのあとをついて行けば間違って地雷原に入ってしまうようなこともないでしょう。

私の場合、前を走るガイドが大変低速で走るため、深いサンド(砂地)などはむしろガイドがいるほうが邪魔くさく感じました。

約3kmほど走るとモーリタニアの国境に着きます。

するとガイドがパスポートとバイクの登録証を寄越せというので手渡すとどんどん手続きをしてくれます。

ただこのとき私が失敗したのはこのガイドを完全に信用して任せてしまったことです。

書類作成と保険加入においては必ずすぐそばにいて自分で手数料や保険料を支払うようにするか、きちんと領収をもらうようにするべきでした。

確かにガイドがテキパキと手続きを進めてくれるので楽ではあったのですが、事件は最後に起こりました。

 

最後の清算のときに、この馬鹿ガイドはお金を吹っ掛けてきたのです。

私は事前に国境越えでかかる費用を調べていたのでそれが嘘の金額であることはすぐにわかったのですが、この馬鹿ガイドは認めません。

「領収書を出せ!」と言うと「そんなものは無い!」と言います。

しかも、こいつは周りに仲間を引き連れてきて私のテーブルを囲んできました。

こんなんでこっちがビビると思っているのでしょうか?あまりにもなめているのでこちらもムカついて、この馬鹿ガイドに日本語でキツめに少し大きめの声で抗議します。さらには周りにいるこいつの仲間も睨みつけてやります。

どうせこいつらはそこまで揉めるのは嫌なのです。すると周りを囲んできたやつらは自分は関係ないといった感じで周りのテーブルに座りました。

それで諦めたのか馬鹿ガイドは書類作成料は正規の金額に訂正しました。しかし保険料は倍の金額のままです。

「俺は保険料もきちんと調べて知っているんだ!いい加減にしろ!この金額だっていうなら領収書を出せ!」というと、保険書類に書かれている金額(モーリタニアの通過ウギアで記載されています)を足し上げて「確かにこの金額で正しい。これは嘘じゃない」と言います。

確かに書かれている金額らしきものを足し上げてみるとこの馬鹿ガイドが言っている金額となります。

私は「本当だったな。悪かったな」と言って言われた金額を払いました。

するとこの馬鹿ガイドは「いや、別に良いんだよ。あとは両替が必要だろ」と言ってきます。

これでこいつは墓穴を掘りました。私がお金を払った時点でそのまま去っていれば私はこいつに余計なお金を払っておさらばだったのですが、このとき私がもう一度保険の書類に目を通すとやはりこの馬鹿が嘘をついていたことに気付きました。

さきほどこいつが足し上げた金額は明細部分の金額を足した後にさらにトータルの欄に記載されていた金額も足し上げていたので倍の金額を取っていたのです。

「てめぇ!さっきの金額、明細とトータル足しているから倍の金額になっているじゃねぇか!余計に払った分を返しやがれ!!」

この馬鹿ガイドは不機嫌な顔になり何か言い訳を始めましたが、とにかく私は余計に払った分を返せとだけ言います。

この男は狡いことをしてくる割にはこうなると意外と素直です。

余計に払った分はモーリタニアの通過ウギアできちんと返してくれました。

私が席を立つとこの馬鹿ガイドは恨めしそうに私を睨みつけていましたが、私は「ありがとう」とだけ伝えて立ち去りました。

 

保険屋の建物の外に出るとすぐ隣にある銀行のATMでモーリタニアの通過ウギアを下ろします。最初このATMがエラーを吐いてお金が引き出せないと思ったのですが、たまに英語表記にすると下ろせないATMがあると聞いたことがあったので試しにフランス語表記のまま操作を行うと見事に現金を引き出すことができました。

一旦バイクのところに戻りこのあとどうしようかと考えていると、また一人の男が両替はどうか?と声を掛けてきました。

面倒になっていた私は「ATM」とだけ言ってATMの方を指さし基本は無視をします。

するとその男は「あのATMはカード使えないよ」と言います。

先ほどの馬鹿ガイドの件でイラついていた私はこの男も嘘をついてきたことに無性に腹が立ち「てめぇ、嘘つくんじゃねぇ!俺は今さっきそこのATMでお金を引き出してきたんだ!」というと近くにいた男が通訳してくれたようで、声を掛けてきた男はしょんぼりして去って行きました。

この男の嘘はほとんど実害があったわけではないので、このように怒鳴りつけてしまったことに申し訳なくも思ったのですが、嘘をついて人を騙してお金を取ろうとするこの国の人たちが腹立たしくて仕方なかったのです。

この国のやつらは噓つきだらけじゃねぇか!と思い、このときこの国のやつらを一切が信じられなくなりました。

でも、まあアフリカの中では十分マイルドな方なのでしょう。これから先はもっと大変なことがたくさんあるだろうことを覚悟しないといけませんよね。

そして私はこの先、このモーリタニアという国に触れていくにつれ、もう少し優しくしてあげても良かったのかもしれないと後々思うようになるのでした。

 

 

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