1月10日(金)東京出発216日目、ギニア3日目 ボケ手前120km地点~ボケ 走行距離126km
集落でテントを張らせてもらって就寝していると明け方に懐中電灯を照らして誰かがこちらに向かって歩いてきます。
足音からして3人くらいいるのでしょうか?
一人年配から老人くらいの男性であろう声で「ツーリスト、ツーリスト」という声が聞こえます。
その横で子供二人くらいが何かをしゃべっているようですが聞き取れません。例え聞き取れたとしても何を言っているのかはわからいでしょうが。
そんな夢うつつの中でまどろんでいるといましたが、そのまま再び眠りに落ちていったようです。
ふと外の少し離れたところからたくさんの子供たちの声が聞こえてきて目を覚まします。時計を見ると朝6時前です。
外はまだ真っ暗ですが子供たちが何やらみんなで復唱しています。
この集落には家らしい家は2、3軒しか見当たらないのですが、昨日の様子を鑑みるにこの辺りにはたくさんの子供たちが住んでいるようです。
この辺りの子供たちは学校は通えているのだろうか?と思っていたのですが、この集落で勉強をするために朝の早い時間に子供たちはやってきているのかもしれません。
辺りが暗いままだと撤収作業もままならないので、私は日が昇る7時過ぎまでテントの中でまどろんでいました。
7時を過ぎ、日が登ったので私はすぐさまテントの外に出て撤収作業を開始しました。

いつもは朝弱いリョウさんですが、さすがに昨夜も早く寝たのでこの日はすぐに目覚めたようです。
リョウさんと一緒に撤収作業をしていると何人かの子供たちが見に来たのですが、昨日のようにすぐ間近まで来るわけでもなかったのでそれほど気にはなりませんでした。

昨日、私たちに声をかけてくれた青年も私たちの出発の準備が整う頃になるとやってきたので、大変助かったことを伝えて(言葉が通じないのでどこまで理解してくれたかはわかりませんが)握手をして出発します。
助けてもらったのにごめんなさい。
本当に偉いねぇ(>_<)一方で男の子は遊んでばかり(>_<)
ありがとう\(^_^)/
ボケまで約120km。
リョウさんば昨日の疲れを引きずっているでしょうが、そんな様子を見せることなく頑張って走ってくれます。
昨日あの集落で泊めてもらえたことは本当にラッキーでした。この日走った道は昨日よりも更に凹凸が激しく、ところどころクラックが入っていたり凸凹の道を上り下りしないといけないような坂道もあります。
昨日あのまま走り続けていたらそれこそ危険だったでしょう。
私のテネレさんの走破性ならそこまで難しくない道なのですが、テネレさんの弱点としては足つきがあまり良くないということがあげられます。このような凹凸の激しい道は一気に駆け抜けないと、下手な場所で途中で止まったりした場合に、足を付こうとしても足が地面につかず空転して転倒してしまう恐れがあります。
私はそれが十分わかっているつもりであったため、特に傾斜があるような道ではリョウさんが登り切るまで下で待機するか、リョウさんを追い抜いて先に登り切ってしまうかしていました。
というのもリョウさんのNC700は未舗装路の走破性はそこまで高くない代わりに足つきは悪くないため、このような道ではリョウさんは慎重に危険だと判断したら足を付いてゆっくり登っていたからです。
しかし、この日、リョウさんもこの赤土の凸凹道に慣れてきたのか順調に歩みを進めていたことから、途中で私は完全に油断していました。

同じような凸凹の登坂でリョウさんのすぐ後ろをそのまま走ってしまいました。ここは今までの登坂よりも更に凹凸が激しく、途中でリョウさんが足をついて停車しました。
私もそれを見て足をついて止まろうとしたのですが、そのままつこうとした左足が空転して左側に立ちごけをしてしまったのです。
なんとか転倒しないようにと左側にハンドルを切ってしまったのも良くありませんでした。フロントタイヤが斜面に対して下側にくる形で転倒してしまったため二人がかりでも起こすのが大変です。
仕方なく降ろせる荷物をバイクから降ろしてリョウさんと再度二人がかりで起こそうと試みます。
それでもテネレさんを起こすのにかなりの労力が必要で、やっとのことでテネレさんを起こした時には二人とも汗だくでした。
リョウさん:「こんなところで一人で走ってて転倒したらと思うとゾッとします…。」
この道はボケという比較的大きな街へと続く道だけあって地元民のバイクやトラックなどの往来もそこそこあるため、万一単独で走行していたとしても、助けを得やすいので私としてはそれほど怖い場所ではないと思うのですが、未舗装路にあまり慣れていないリョウさんからすると、二人がかりでもバイクを起こすのに苦労し、恐怖を感じてしまったのだと思います。
私の不注意でそのようなことになってしまい本当に申し訳なく思います。
そして私は未舗装路に走ることに少し慣れてきたことで天狗になっていたのだと思います。
私程度のスキルで気を抜いて良いはずが無いのです。転倒すれば怪我やバイクの破損にだってつながる可能性があるのです。
簡単に考えていた私は反省しないといけません。
この日、やはり私の予想していた通り、ボケまでのほぼ全区間未舗装路の走行となりました。
立ちごけもしてしまいましたが、それでも私としてはこの赤土ダートの走行は楽しくこっちの道で来て良かったなと思ったのですが、リョウさんは
「しばらくはダートは走りたくありません」
と言っていました。
ダートにそこまで慣れておらず、バイク自体もそこまでオフロードの走行性が高くないことから、リョウさんの疲労は大きかったと思います。
私も日本でダートを走り始めた当初は全身に力がガチガチに入って次の日には酷い筋肉痛に襲われていたものです。
その頃に比べると少しはダート走行に慣れたのは確かだと思うのですが、ヘタクソはヘタクソに変わりないので、油断なんてもってのほかです。少しできるようになると調子に乗る私の性格は戒めていかないといけないとなりませんね。
ボケの街に入るとガソリンスタンドで給油をします。それは前日の朝の反省を踏まえてです。
先にリョウさんが給油を終え、次に私の番です。
給油を終えて金額を聞くと14万ギニアフラン(約1750円)と言います。昨日の朝に給油したときは6万ギニアフラン(約750円)だったので高すぎると思ってしまいました。
実際には昨日の朝は走行距離130km強の時点で給油し、この日は320kmほど走行しての給油だったので間違ってはいなかったのですが。
あれ?と思ってリョウさんに「リョウさんは幾らでしたか?」と聞くと「あれ?いくら払ったっけ?うーん…。確か5万ギニアフラン(約625円)だと思います」と言います。
やっぱりおかしいと思い、私がガソリンスタンドの人に「高すぎないか?間違っていなか?」と聞くのですが、間違っていないと言います。
それを聞いて私は「彼は5万ギニアフランしか払ってないって言っているんだ。私と彼は同じタイミングで給油しているし、同じ道を走って来たんだからそんなに違うはずないだろ」と言いました。
しかしガソリンスタンドの人も「間違っていない。14万ギニアフランだ」と言って譲りません(間違っていないので当然です)。
私も納得できないので少し押し問答になったのですが、リョウさんが「そういえば、さっき2万ギニアフラン札を4枚出したら足りないって言われて、あと何枚か2万ギニアフラン札を財布から取られて1万ギニアフラン札をお釣りでもらったから…。うーん…、もしかしたら11万ギニアフランくらい払ったのかもしれません。支払う時にちょっとごちゃごちゃしたからわからなくなっちゃって」と言います。
そう言われて冷静になってみると昨日の朝と今回の給油では給油までの走行距離が全く違うことを思い出し、リッター当たりの金額を考えてみると間違っていなそうなことに気付きました。そこで「悪かった。こっちの間違いだ。」と言って14万ギニアフラン支払いました。
考えるのが面倒だったからと言って、私自身これはいけなかったと思います。ガソリンスタンドの人に大変申し訳ないことをしてしまいました。
しかし、一方でリョウさんのお金に対するおおらかさにも今回の件を含めてここ数日驚かされることがありました。
昨日も村の商店でリョウさんが水やタバコ、非常食用のお菓子を買ったときのことです。
この国の物価の相場をある程度知りたかった私はリョウさんに「それ、全部でいくらでしたか?」と聞くと、「うーん、ちょっとまだこの国の紙幣に慣れていなくて…。財布を開いたら確か青いお札と緑のお札を取られて…。それで赤いお札が返って来たと思います。だからいくらかわからないんですよね…」
私はマジで~?って思いました。
私もそれほどケチケチしたりはしていないつもりなのですが、納得できないものにはお金を払う気はありませんし、海外では騙したりちょろまかしてきたりする輩が多いので、支払い時やお釣りをもらうときはかなり警戒します。
自分の財布の中身を触らせるなんて絶対にしません。
しかし、それでもリョウさんはここまで無事に旅をしてきたわけです。リョウさんのにこやかな顔立ちと人当たりの良さが、この人に悪いことはしてはいけないと周りの人に思わせるのかもしれません。
それになんだかそのくらいの方が楽しそうです。
もしかしたらどこかでちょろまかされたりしたこともあったのかもしれませんが、全然大きな被害ではなく問題の無いレベルであったのかもしれませんしね。
そう考えると、私のようにいつもピリピリして周りを警戒しているよりも精神衛生上よっぽど良さそうです。でも私の性格からしてそんなことをしたらきっと、どこかでちょろまかされたのではないか、損をさせられてないかと気になってしまって結局疲れてしまいそうですけど。
リョウさんのような性格であればきっともっとたくさんの人たちと打ち解けていろいろな人たちとふれあい、そういった意味での旅の幅が広がるのかもしれませんね。
これも旅のスタイル。
いろいろと考えさせられました。
このギャラリーは、6 枚の画像があります 写真 他
ヒデさん、こんにちは!
モトコです。
いつも素敵な写真満載で楽しく読ませていただいています。
ダート走行はとても大変そうですが、二人三脚で乗り越えられていて素晴らしいです!
あとお金の感覚のお話、頷きながら読みました(˃̵ᴗ˂̵)
ちなみに私はケチんぼ寄りですが、世の中にはさらにスゴイ方がいて驚いた事があります(^^)
モトコさん
コメントありがとうございます!!
モトコさんのような旅の達人でしたらお金の管理もきっといい塩梅で楽しみながら、それでいてきちんと管理できるのでしょうね。
私のようなへっぽこですと、いつも警戒しているくせにそれでも失敗したりしています。
リョウさんには私が一方的に厳しいことを言ってしまったりしてかなりストレスを与えてしまったりしていると思うのですが、私に合わせてくれて本当に申し訳ないなと…。
二人ですとそれはそれでいろいろとありますが、うまく折り合いをつけて乗り越えていけたらいいなぁと思っています(^O^)
ちなみにお金に関してスゴい方ってのはどんな感じなのか気になります(>_<) 今度聞かせてください\(^_^)/