ウンゲ氏との攻防戦

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2月17日(月)東京出発253日目、ベナン5日目 コトヌー

無事にガボンとコンゴのビザを取得した私たち。

この後スラドゥさんとの打ち合わせのために電話をしたところ、すぐに車で我々の滞在している宿までやってきてくれました。

スラデュさん:「港に行って船会社の人と話をしましょう」

スラドゥさんは本当に仕事が早いです。土曜日に宿に来てくれて方針を決めて、週明けの月曜日には船会社の人と打ち合わせのセッティングをしてくれていました。

港に着いてそこにあるちょっとしたBARのような場所で飲み物を注文して待っていると、何やらふてぶてしい態度の大男がやってきました。

スラデュさんが船会社の人間だと紹介してくれます。

…。待てよ。この男、見たことがあります。確かウンゲとかいう名前だったような…。

スラデュさんのことを紹介してくれたメタボンさん(昨年南アフリカまでの旅を終えた)のブログにこの男が登場していました。

確かコトヌーからガボンまでのバイク一台当たりの輸送費1,200USD(約13万円)とぼったくろうとした男です。

向かって左の電話しているふてぶてしい大男がウンゲ氏
右がスラドゥさん

私は警戒します。

まず始めにこの男の会社に輸送を依頼した場合の金額についてですが、書類作成などの手数料込みで370,000CFA(約74,000円)です。

これは事前にスラデュさんから聞いていたものと同じ金額で、メタボンさんから教えてもらっていた昨年のメタボンさんたちの実績の金額とほぼ同額でした。

そして船のスケジュールについては、船はすでに沖に来ていて、明日には入港して明後日にはガボンに向けて出港するということです。

それもスラデュさんから聞いていた話と同じです。

このウンゲという男は英語が話せないようで、すべてスラドゥさんを通して会話をします。

ウンゲ氏(スラドゥさん通訳):「もうあまり時間がありません。すぐに書類作成の手続きを始めないと間に合わないので今決めてもらえますか?」

うん…?ちょっと待った。土曜日にスラデュさんと話をした時点では火曜日に入港した船を見てから決めて良いという話でした。

私:「手続きは始めていただいて構いません。しかし入港した船を見て判断して良いと伺っています。もし船を見てキャンセルしても費用は発生しないということでよろしいですよね?」

ウンゲ氏(スラドゥさん通訳):「ダメです。今ここで決めてください」

私:「船を見てもいないのに決めることはできません。昨年ここからガボンに向けてバイクを輸送した私の日本人の友人(メタボンさん)はバイクが一部破損したという話を聞いています」

ウンゲ氏(スラドゥさん通訳):「今回そうなることはありません。昨年あなたの友人のバイクを輸送した船は38mサイズの小さな船でした。今回あなたたちが使う船は78mサイズの大きな船です。前回は船のスペースが狭かったためにそのようなことになってしまったかもしれないが、今回は十分なスペースに置くことができるので大丈夫です」

そういうとウンゲ氏はスマートフォンで今回我々が使う船だと言って動画を見せてきました。

確かに大きな船に見えます。

しかし私はこのウンゲという男が信用できないのです。

動画では大きな船のように見えますが、実物を見ないことには判断できませんし、そもそもここで見せてくれた動画と同じ船が本当にやってくるのかさえ疑わしく思うのです。

私:「この船の名前は何て言うんですか?」

ウンゲ氏(スラドゥさん通訳):「CASSANGA(カッサンガ)だ」

まず船の名前を聞いてメモを取ります。この船と違う船だった場合には話が違うと言えるようにするためです。しかし残念なことにウンゲ氏の見せてくれた動画では、その船の名前まで確認することができませんでした。

うーむ。何か担保を取れるものが無い限り、ここで簡単にお願いしますとは言いたくありません。

どうしようかと思っていましたが少し強硬策に出ることにしました。

私:「私はスラドゥさんのことは信用しています。しかしこの男(ウンゲ氏)を信用できません。私が把握している限りでも今年、私たちの他にここコトヌーに日本人ライダーが4人は来ます(実際には知りませんが…)。我々がここでお願いして、もしおかしなことが起きたなら、私は容赦なくその4人の日本人ライダーにはここの港は絶対に使うなと伝えます。コトヌーでは無くロメかアクラから輸送しろと。そのことを彼(ウンゲ氏)に伝えてください」

そう言うと、スラドゥさんはウンゲ氏に通訳してくれました。

ウンゲ氏(スラドゥさん通訳):「大丈夫だ」

このときはこれでウンゲ氏がどう思ったかはわかりませんでした。彼にとって日本人ライダー4人分の仕事がどれほどの重みがあるのかが読めないからです。

しかし、恐らくではありますがこの発言は彼に対して一定の効果があったのではないかと感じることが後々あるのでした。後に彼は何度か私たちに「私たちの仕事は完璧ですか?何か不備はありますか?何かあれば遠慮なく言って欲しい」と言ってくることがあったのです。

しかし、このときは私は本当にこれだけの話でこの時点で決断してしまって良いのか決めきれずにいました。

そしてリョウさんに相談しました。

私:「リョウさん、どう思います。もうこの時点で決めてしまっても良いと思いますか?私はこの男(ウンゲ氏)を本当に信用して良いのかわからなくて。何も担保が無い状態で決断してしまっても良いものかと…?」

リョウさん:「うーん。決めてしまっても良いんじゃないですか?去年メタボンさんたちが輸送したっていう実績があるわけですし」

この一言が私が決断する決め手となりました。確かにそうです。我々の知っている実績があるというのは大きいです。もしここで断って、スラドゥさんが他の業者を紹介してくれたところで、結局はもっと信用できない可能性の方が高いです。

私:「そうですね。実績があるというのは大きい気がします。少なくともメタボンさんたちはこの会社にお願いして、なんやかんやあったとしてもガボンでバイクを受け取って旅を続けたわけですから」

そうして我々はこの業者にお願いすることに決めました。

そして確かにウンゲ氏の言う通り時間がありません。

今後の動きを確認します。

まず向こうの要求するパスポートと自動車登録証なのですが、明日の朝コンゴ民主のビザの申請に行く予定なのでコピーでお願いできないか確認します。
始めはウンゲ氏は怪訝な表情でしたが、理由が理由なだけにそこは折れてくれました。

書類の作成が終わらないとバイクを船に乗せることができないので、まずはウンゲ氏にて書類作成を行ってもらいます。それが終わり次第スラドゥさんから私たちに連絡をしていただいて、それを以て我々はバイクで港まで来て積み込みをするという流れです。

最後にもう一度スケジュールを確認すると

ウンゲ氏(スラドゥさん通訳):「船が港に入ってくるのは明日か明後日です。なので船の出向は明後日か明々後日です」と言います。

私:「おいおい、ちょっと待ってくださいよ。さっき入港は明日、出航は明後日って言ってましたよね。そんなすぐに言っていたことを覆さないでください」

するとウンゲ氏はすぐに慌てて

ウンゲ氏(スラドゥさん通訳):「いやいや。船はもう沖に来ているんだ。港が他の船で埋まっているので空き次第入港するってことです」

なるほど、その理由なら納得できます。それは彼らだけの都合でコントロールできることではないでしょうから。

とにかくこの会社にお願いすると決めたのです。信じるしかありません。

打ち合わせに使ったBARで注文した飲み物の会計をしようとすると

ウンゲ氏(スラドゥさん通訳):「ここの支払いはこちらでやるので大丈夫ですよ」

スラデュさん:「あなたたちはもうお客さんなので払わなくて大丈夫です」

リョウさん:「じゃ、お言葉に甘えて…」

私:「リョウさん。ここは自分たちの分は払いましょう。私はまだこの男を信用しきれていませんし、この男にご馳走になる筋合いもありません。私は安易にそういう人から奢られるのは嫌なのです」

リョウさんには申し訳なかったのですが、私たちはそれぞれ会計することにしました。

とにもかくにも船会社が決まって大まかな流れやスケジュールが見えたことは大変ホッとしました。

そう思っていたのですが、ここから私をドキドキヒヤヒヤさせられることが立て続けに起きていくのでした。

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