2月18日(火)東京出発254日目、ベナン6日目 コトヌー
無事、ガボンまでバイクを運ぶ船を見つけることができました。
先方の処理作成が終わらない限り船にバイクを積み込むことができないので、先方(スラデュさん経由)からの連絡待ちとなります。
早ければ船は明日コトヌーを出航するということですので、今日中になんとかバイクの積み込みまでできたら良いなと思っていました。
国を跨いでの輸送になるので書類作成にはそれなりに時間がかかることになると思います。
スラデュさんから連絡が来るのは恐らく夕方になると考えていました。
この日はまずはコンゴ民主(旧ザイール)のビザを申請にコンゴ民主大使館に行きます。
コンゴ民主大使館は宿から歩いて5分もかかりません。
8時には開いているということでしたので8時ちょうどくらいに行きました。
入り口でビザの申請をしに来たことを伝えるとパスポートの提示を求められました。
パスポートを提示すると入り口の職員は裏に確認に行ったのですが、すでに情報として得ていたようにここでビザの発行はできないと断られてしまいました。
以前もお伝えしましたが、昨年、第三国(自身が居住している国以外)で取得したビザを持ってコンゴ民主に入国しようとしたツーリストたちが国境で入国拒否をされてトラブルになったということで、ここではベナン在住者以外にビザの発行はできないということでした。
カメルーンのヤウンデにてコンゴ民主のビザの取得ができるという情報を得ていたのですが、船のスケジュールの関係で我々はカメルーンもスキップしてガボンに行くことに決めてしまったため、コンゴ民主への入国も厳しくなってしまいました。
しかし、この大使館の職員が別の情報をくれました。
大使館職員:「現在第三国でのビザの申請は受け付けていませんが、コンゴのブラザビル国境からコンゴ民主のキンシャサに行くならば、国境にて8日間のトランジットビザを発行しますので、そちらから行ってください」
貴重な情報のように思うのですが、これは結構嫌な情報です。
ブラザビル-キンシャサ国境の悪評はとんでもないものなのです。ですのでほとんどのツーリストはこの国境を避けます。
とにかく国境職員の腐敗が激しく、執拗な賄賂の要求があり、それを拒否したツーリストが逮捕されたという情報もあるくらいです。
それにいざ行ってみてビザが発行されなかった場合は最悪です。ただでさえ道路状況の悪いコンゴの道を引き返す必要が出てきたときに心が折れてしまいそうです。
ビザが取得できればお金さえ払えば通過できなくはないようですが、そんなものいくらになるかわかりません。それに、そもそも私は賄賂の要求に応じて、それをする人間たちを許容するようなことをしたくないのです。
宿に戻り、私はFacebookのOverlanding West Africaという西アフリカを陸路で旅行する人たちのコミュニティに質問を投げてみました。
・コンゴ民主のビザが取れなかったのだが、ブラザビル-キンシャサ国境でトランジットビザが取得できると聞いた。それは本当なのか?
・この国境の職員は腐敗しているとの噂だが実際のところはどうなのか?
すると何人かからコメントをいただきました。
やっぱり内容は酷いものでした。
何度もキンシャサを訪れたことがあるという方からのコメントでは、キンシャサ国境の腐敗具合はとんでもないということでした。とにかく上層部から現場の職員まですべてが腐敗しているということでした。
更に他の方からのコメントでは、ビザを持たずに国境まで行ってそこでビザが発行されたなんていう話は聞いたことがないというものでした。
可能性があるのであれば挑戦すべきなのかもとも思いつつ、そこまでのリスクを背負って悪路を走ってブラザビル-キンシャサ国境まで行くことにそこまでの価値があるようにはこのときは思えませんでした。
コンゴからアンゴラの飛び地カビンダに行き、そこから船を使ってコンゴ民主をスキップするのが妥当(無難?)なのではないかと考えています。
お昼になり私は近くのお店に昼食を買いに出かけました。
宿へ戻る途中、バイクに乗った男が後ろからやってきて
バイクの男:「ジャポネーゼ(日本人)、ジャポネーゼ(日本人)」
と声を掛けてきました。
振り返ると、この男が笑顔で親指を立ててきたので、私もそれに応じました。
すると私のすぐ隣にバイクを停車させると、さっと胸ポケットから自身の顔写真のようなものを見せて
バイクの男:「私は警察官だ。ドキュメントを見せろ」
と言ってきます。
私はポーチからパスポートを取り出してその男に手渡しました。
その男は私のパスポートをサッと確認すると
バイクの男:「他のドキュメントは?」
と言って私のポーチをひったくろうとしました。
冗談じゃありません!
私はグッとポーチを引っ張り返すと睨み返してそのまま立ち去ることにしました。
バイクの男:「これで終わり?」
とわけのわからないことを言っていましたが、私は無視してそのまま宿に帰ることにしました。
冷静に考えればどうみても警察官のような恰好をしていませんでしたし、あの男が胸ポケットから見せた顔写真も警察のIDにしてはお粗末過ぎました。
この旅でそんなに変な目に遭っていなかったことから私の警戒心も薄れていたのだと思います。きちんと確認もせずにパスポートを提示してしまったことは大いに反省しないといけないと思います。
宿に戻りつい今しがたあったことをリョウさんに報告しました。
私:「気が緩んでいました。気を付けないといけませんね。リョウさんもこの辺りを歩くときは気を付けてくださいね。向こうは私のことを初めから中国人ではなく、日本人と認識して話しかけてきました。もしかしたらこの辺りに日本人が滞在しているという情報が出回っていて目を付けられたのかもしれません」
これを聞いてリョウさんの顔色がみるみる青くなるのがわかりました。
不用意に怖がらせる発言をしてしまったのはマズかったかもしれません。しかし、実際に用心するに越したことはないとお互いに確認しました。
この日、結局スラドゥさんから連絡はありませんでした。
明日船が出港するとなった場合果たして本当に間に合うのでしょうか?そもそもあのウンゲとかいうやつは我々の手続きをしてくれているのでしょうか?
不安が募るばかりです。