2月26日(水)東京出発262日目、ガボン6日目 リーブルビル
船は火曜日に到着するとサムは言っていました。
そして火曜日に電話くれるとサムは言っていました。
しかしサムは火曜日の午後になっても電話をくれなかったのでこちらから電話をしました。
するとサムは「今日は準備ができていないので明日だ」と言いました。
そして今日になりました。
午後になってもやはりサムからは電話が来ません。
仕方なくこちらから電話をします。
すると悪びれる様子もなくサムは
サム:「明日だ」
と言います。
さすがに私も厳しく言います。
私:「一体何をやっているんだ!どういうことなんだ?火曜日に船は到着するって言っていたよな?今日受け取れるって昨日言ったよな?どうなってるんだよ?」
サム:「○*+#$’%”&コンゴ#’$?@#%」
なに??
全然何言ってるかわからない?それになんか今コンゴって聞こえたんだけど。まさか船はコンゴまで行っちゃったんじゃないだろうな?!
私:「何だって??あなたが何て言ってるのか全くわからないよ。どういうことだよ?もう一回説明してくれ」
サム:「うーん。じゃあさ、今からアンタレスまで来てよ。タクシーに乗って」
私:「何?アンタレス?それどこだよ。港にあるの?タクシー運転手に言えばみんなわかるの?」
サム:「港にある。タクシー運転手ならわかるよ」
まじかよ。もう全然信用ならない。
とりあえずリョウさんに、サムがアンタレスってところまで来いって言っていることを伝えます。
二人で準備をしますが、
私:「私もサムが何を言っているのか全然わからなかったんですよ。ちょっと一回宿のレセプションに行ってサムと電話で話をしてもらって何て言っているのか確認してもらいます」
そう言って、先に私はレセプションに行きました。
レセプションにお願いすると快く引き受けてくれました。
レセプションの人が言うにはどうやら今日とりあえず港まで行って書類の手続きをして、受け取りは明日になるということだそうです。
しばらくしてタクシーの運転手がやってきて港まで連れて行ってくれることになりました。宿の方がこのタクシー運転手にサムの電話番号を控えるように言ってくれました。我々を港までの送り迎えをするだけでなく、サムに引き合わせるところまでやってくれるようです。
この日は酷い大雨です。
港に着くとタクシー運転手がサムに電話をしてくれ港の中に案内してくれます。すると警察を名乗る男がやってきて我々にパスポートを提示するように言い、パスポートを持ってどこかに行ってしまいました。
しばらくすると(小一時間は待ったでしょうか?)、サムと思われる(後にこの男はサムでは無いことがわかるのですが)がやってきて我々を港の中に連れて行ってくれました。
サムもどきのこの男は我々にパスポートを返してくれ、今日はもう時間だから明日の朝9時にもう一度来てくれと言いました。
そこで私は明日の予定の認識の齟齬が無いようにメモ帳を取り出し言われたことを書き出しお互いに確認しようとします。
しかしサムもどきは警察からパスポートを取り返したのだから一人25,000CFA(約5,000円)払えと言ってきます。
大変下手な英語なので私はこいつが何を言っているのかわからない振りをしました。
とぼけながら25,000とメモ帳に書き、それがどうしたんだ?ととぼけているといい加減面倒になったのか、明日9時にもう一度来いということになりました。
わかりきったことでしたが結局はこの日は大雨の中、出かけて行って、結局は何もやらず終いです。
宿に戻るとレセプションの人に明日もう一度港に行くように言われたことを伝えます。
すると今度はタクシー運転手が何やらレセプションの人に言いました。
レセプション:「彼が、港での待ち時間が長かったので追加で5,000CFA(約1,000円)払って欲しいと言っています」
私:「もともと出発前に宿までの往復になるので港で待ち時間が発生することは伝えていますよね。それ込みの金額で了承しているはずです」
レセプション:「出発前に話したのはトータルで3時間までの金額で、3時間以上かかったので追加料金が発生するということのようです」
私:「そんな話してませんでしたよね。3時間なんていう話一切出ていませんでしたよ。それはあなたも出発前我々の傍にいたのですからわかっていますよね?」
そういうとそれ以上は何も言いませんでした。
この国も金払え金払えですね。
レセプション:「手続きは大丈夫でしたか?税関の手続きですからいろいろと面倒だったんじゃないですか?」
私:「いやいや。結局今日は何もしなかったんですよ」
レセプション:「あぁ、それは良くある話ですね」
なんなんでしょうね。何もしないことが良くある話で、みんなして金くれ金くれ…。
相手が黒人だったりするとこれを人種差別だという人もいるかもしれませんが、私はこういう人たちのことは軽蔑します。
別に人種でも国籍でもないです。きちんとした仕事もせずに他人からお金を無心する人間は恥以外の何者でもないと思うのです(もちろんこの日のタクシー運転手はきちんと仕事は全うしてくれましたし、港でも私たちのために動いてくれました。ただし、それに対してもともとの送り迎えの相場よりも初めから多く支払っているのです。後からさらに上乗せされる筋合いはありません)
ガボンに着いてから特段何かをしたわけではありません。確かに言葉の壁もあるのかもしれませんが、サムとのやり取りを始め、バイクの引き取り作業は私の心をとことん疲弊させていました。
正直このときの私はいろいろなことが嫌になっていました。
昨年の12月21日にダカールに入り、そこからビザ取りや船探しに船への積み込み手続きなど、この2か月間のほとんどの時間が事務作業です。
そしてそうした作業の多くは相手方の匙加減一つでどうにでも覆されてしまう可能性のあるものです。国境でも検問でも賄賂の要求があったりどこに行っても金くれ金くれ…。そして今はバイクを人質に取られてどこでどう理不尽な要求をされるのかもわからない状態です。
なんか疲れてしまいました…。