3月6日(金)東京出発271日目、ガボン15日目 ンデンデ
朝起きて、ンデンデのイミグレーションに行きます。
するとなんとそこには見たことのある大きなキャンピングカーが停まっていました。
あれは!
あれはコトヌーでマックスと同じ宿に泊まっていたイギリス人夫婦です。
私たちがコトヌーで船を探していると言うと、大変心配してくださった優しい方々です。
私:「おはようございます!私のことを覚えてくださっていますか?」
ご婦人:「あら?コトヌーで出会ったバイク乗りの。もちろん覚えているわ」
ご主人:「あぁ。今日出発かい?ここからコンゴ側に向かっては大変酷い悪路みたいだが?」
私:「いえ。今日は情報を集めに来たのです。実は数日前にあの道に挑戦して転倒して足首を捻って怪我をしてしまい、今バイクに乗れないんです」
ご婦人:「大丈夫なの?」
私:「思ったよりは悪くなさそうです。今はなんとか歩けていますので」
ご婦人:「これからどうするつもりなの?」
私:「うーん。今日ここで情報をもう一度集めてみて、どうしても大変そうなら輸送業者にお願いしてドリジーまでバイクごと運んでもらうか、リーブルビルに戻って船か飛行機で運んでもらうか…」
ご婦人:「そうなのね…。それじゃまだ旅は続けるのね。ならアンゴラかナミビアか南アフリカどこかでまた会えるかもしれないわね」
ご主人:「また会えると良いな。それにしてもここのイミグレーションの職員は不愛想だし仕事も遅くて敵わんな」
私:「私が先日出国手続きをしたときも8時前にはここに来ましたが、出国印をもらえたのは9時過ぎでしたからね。でも私はここの人たちに大変助けていただいたので…」
確かにここのイミグレーションの人たちは大変不愛想ではありますが、きちんと仕事をする人たちです。そして村で私を見かけるとみんなして足は大丈夫か?と聞いてくれるのです。
そうこうしているとこのご夫婦のパスポートに出国印が押されて担当の警察官が持ってきました。そしてその警察官は私の顔を見ると「足は大丈夫なのか?」と聞いてくれました。
ご夫婦と挨拶をしてお別れをします。この先どうしたら良いのだろうかと不安になっていた私に、このご夫婦はひとときの安心感をくださいました。

さて、なんとかコンゴ方面から来るツーリストをここで見つけて話を聞けないかと思うのですが、こんな日に限って全然人がやってきません。どうもここを通過する人の人数には日によってだいぶバラツキがあるようです。なのであの悪路もそこそこ交通量が多い時と全然無いときがあるようでした。
10時頃になっても全然人はやって来ず、夕方にならないとコンゴ方面からやってくる車はいないかななんて思っているとヒマを持て余していたイミグレーションの警察官が話しかけてきました。
このイミグレーションにいる警察官のほとんどは英語を話せませんが、この警察官は多少の英語が話せるようです。
警察官:「何をやってるんだい?足は大丈夫なのかい?」
私:「足はなんとか。段差とかでなければそれほど苦労しないで歩けるようになりました。今日はコンゴ方面から来る車が来たら道路状況がどうだったか聞いてみたいと思いまして」
警察官:「そうか。まだビザの期限ももう少し残っているし、焦らずゆっくり治してな」
私:「はい。ありがとうございます。そいういえば、ここからコンゴに向けてバイクを運んでくれるような輸送業者とかって知っていますか?」
警察官:「おぉ、それなら俺の知り合いにトラックの運転手がいるぜ。お前お金持ってるのか?いくらくらいなら払えるんだ?」
そう言われたので私は試しに昨日宿にやって来た業者に言われた金額の半分以下の金額(25万CFA(約5万円))を伝えてみます。
警察官:「わかった。今電話してやる。ちょっと待ってな」
そういうと、ものの10分くらいで大きなトラックがやってきました。昨日の業者は本当にバイクを積めるのか?という小さなトラックで、しかもその男がこれまた大変うさん臭かったのですが、こちらの方が全然安心してお願いできそうです。
しかも、昨日の業者では2台同時に輸送することはできないので1台ずつ運ぶことになり、どちらかが先に行ってそこで待っていないとならないですが、こちらの業者ならば十分2台同時に輸送できます。
問題は費用です。これだけ大きなトラックをチャーターして何日間かかけてドリジーまで行くとなると先ほどこちらから言った金額では到底難しいかもしれません。
宿にいるリョウさんにも連絡してイミグレーションまで来てもらうようにお願いしました。
このトラックの運転手は英語は全く話せないので先ほどの警察官に通訳に入ってもらい話をします。
するとバイクの輸送費用は最初に私が提案したもので大丈夫とのことでした。しかし、バイクを輸送するとなるとトラック自体も税関を通さないとならないことと、コンゴ側でも幾つもの手続きが発生するため、そこの費用がプラスでかかってしまうということです。そのことはガボン側の警察官も認識していて、国境を越えてから少なくとも5か所はチェックポイントがあってその都度貨物の申請と費用が発生してしまうということでした。
そしてその費用は別途負担して欲しいということでした。
ここで金額について確認し、それ以上の追加料金については一切受け付けないということで話はまとまりました。
こちらの業者は大変きちんとした対応で、後程英語の堪能な担当者から改めて電話があり、ここでこのドライバーと話した内容を一つずつきちんと確認してくれ認識のずれがないようにしてくれました。
そしてこのとき私は、ドリジーまで道が開けたことで私はかなり安心したのと同時に、トラックに乗ってのんびりとあの道を行くのも悪くはないのではないかと思っていました。
後にこの考えは私にとっては全くもって違うものだったということを知ることになるのですが…。




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