3月8日(日)東京出発273日目、ガボン17日目、コンゴ共和国1日目 ンデンデ~ニャンガ トラック輸送
この日は雨も降らず、かと言ってカンカン照りでもなく天気に恵まれ、ついにコンゴに向けて出発です。
出発前にトラックドライバーの入出国手続き用の写真を撮って出国手続きをしたり、ガソリンを入れたりしたためンデンデを出発したのは結局10時過ぎになりました。
前日の雨の影響か、前回私たちがバイクで走った時よりもさらに水たまりも深く、道路状況は悪いように感じます。
我々が苦労した場所は四輪のトラックでも大変で、出発して間もないところでスタックしてしまいました。
後ろから来た車にも助けてもらい、タイヤの下に草を敷いて脱出します。のっけから不安になります。
そしてさらにしばらく走ると私が転倒して怪我をした地点に到着しました。やはりここはなかなかの難所です。我々が訪れた時点ですでに一台のトラックがスタックしていて、ちょうど別のトラックに引っ張られて引き上げられるところでした。
我らがトラックドライバーのモイーズはここはなんとかスタックせずに通過することができました。それでも四輪のトラックで走って横転するのではないかと思うほどトラックは傾き、冷や汗を掻いたものです。
モイーズ:「俺はグッドドライバーだから行けたけど、今のところは難関だったな」
と言います。
そして今来た道を振り返ると、今度は対向から来ていたトラックがスタックしてしまい真っ黒い煙を上げながら全力でエンジンを吹かしていますがどうにもなりそうにありません。

ヤバそうですけど、周りのトラックが助けるから大丈夫なようです
モイーズが一旦トラックから降りて様子を見に行きますが、別のトラックが引っ張り上げるようでなんとかなりそうです。
そのまま我々は先に進むことにしました。
モイーズ:「お前が転んで怪我したのはどこら辺だ?」と聞くので
私:「さっきのところです」
と言うと、モイーズは笑っていました。
ここから10kmくらいは難所らしい難所もなかったので、あの地点が最難関であって、あそこさえ乗り越えていればそのまま行けたのではないかと思いました。
しかし、やはりそう簡単なものではありませんでした。
10kmくらい進むと、今度も大きなトラックが完全にスタックしてしまいどうにもならなそうです。どう考えても我々のトラックで引き上げられるような大きさのトラックではありません。


完全に道も塞がれてしまっているので我々も通ることができません。
どうなってしまうのだろうかと待っていると後ろから大きなトラックが2台やってきました。
このトラック2台がかりでこの大きなトラックを引き上げます。


トラックが引き上げられた瞬間、そこにいた人たちの大きな歓声があがりました。
後に私たちの一日前にここを通過したライダーに聞いた話なのですが、その時点でもすでにあのトラックはスタックして身動きできなくなっていたそうです。ですので少なくとも丸一日はあの場所でああしていたことになります。

赤道が近いのでお昼の頃には影が大変短いです
この時点ですでに時刻は14時を過ぎていました。10時にンデンデを出発して4時間経過して進んだ距離はたったの25kmです。このペースで行くと国境に到着するのが日が沈むころになってしまいます。
我々はただ乗っているだけですので大丈夫ですが、この道を運転しているモイーズは本当に大変だと思います。

他のトラックの協力も求めながらなんとか進んで行きます
この後もいくつもの難所を越えて行きます。16時半頃にやっとコンゴとの国境までやってきました。
手続き自体は非常に簡単なものです。ゲートをくぐって左側の小さな建物でパスポートの内容を記載してもらい、そこから20mほど先の2軒並んだ建物がイミグレーションとカスタムで、それぞれの場所でパスポートに入国印とカルネにスタンプをもらって入国手続きは完了です。
国境を越えてすぐの村で新しいドライバーのジャンが加わります。モイーズは丸一日あの悪路を走って大変疲労していることでしょう。この日はここから更に40km先のニャンガという村を目指します。
しかし国境を越えてからもしばらくは酷い悪路です。途中、酷く深い水たまりがあり、ジャンが入って深さを確認します。深いところですとジャンの股下まであります。

股下近くまであるけどこんなところ行けるの??
本当にこんなところを越えられるのでしょうか?
モイーズが俺に任せとけと言った顔で「えいや!」と突っ込んでいきます。大きく傾くトラック。
あわや横転と思われるほどグラつきましたが、そのまま一気に駆け抜けたモイーズ!
いつものドヤ顔を見せるのかと思いつつ彼の顔を覗き込むと、頭を抱えて冷や汗を掻いています。
おいおい!そんなギリギリだったのかよ!
ここを越えるとその先には大きな難所はありませんでした。先日お世話になったフランス人ライダーやあのうさん臭い輸送業者が言っていた通り、ンデンデから先70kmを過ぎるとだいぶ道はマシになるというのは本当なのかもしれません。
辺りが暗くなった19時過ぎにニャンガの村に到着しました。
ニャンガの村に到着すると、事前に聞いていた通り警察で貨物の通過の手続きがあります。
我々はパスポートを提示するだけで、実際の手続きはモイーズがやってくれます。
始め二人の警察官がいたのですが、そのうちの一人とモイーズがどこかに行ってしまうと残った警察官が我々に言います。
警察官:「もう一度私にお前らのパスポートを見せろ」
そう言われたので我々は素直にパスポートを手渡します。すると
警察官:「このパスポートは俺が預かる。明日の朝6時にここに取りに来い」
あまりにもヘタクソな英語だったので何度も彼の言っていることを確認しているとリョウさんが、
リョウさん:「Why?」
と聞きました。
するとよくわからない返事です。
なので私が改めて聞きます。
私:「どうしてあなたが我々のパスポートを保持する必要があるのですか?」
警察官:「お前らは今夜この村に滞在するんだろ。だから俺がお前たちのパスポートを持っている」
全く意味がわかりません。
私:「今まで訪れた地域でも街でも国でも滞在するからといって警察官が私のパスポートを保持するなんていうことはどこでもありませんでしたよ」
警察官:「お前たちがこの村に滞在するんだから俺がお前たちのパスポートを持っているって言っているんだ」
ダメだ。話がかみ合わない。しかもなんだこいつ。目は座っているし呂律も回っていないぞ。おかしいんじゃないか?
そんな風に押し問答をしているとモイーズともう一人の警察官が帰ってきました。すると我々が押し問答をしているのに気づいたもう一人の警察官がこの意味のわからない警察官をたしなめて我々にパスポートを返すように言ってくれました。
私は完全にモイーズがいるということで気が緩んでいました。もしリョウさんの「Why?」がなければ私はもしかしたら素直にこの警察官の言う通りにパスポートを渡してしまっていたかもしれません。
そんなことをしたら大変面倒なことになっていたかもしれないと思うと大変反省しました。例え誰が一緒にいようとも自分の身は自分で守るという緊張感はきちんと持っていないといけないです。
警察での手続きが終わるとジャンが用意してくれた宿に向かいます。するとその途中BARのようなものがあり、ジャンがそこにツーリストがいると言って中に入って行きそのツーリストとやらを呼んでくれました。
大変テンションが高くてべろべろに酔っぱらったファンキーな髪形のマッチョマンがやってきました。
マッチョマン:「おお!お前らも荷物置いたらこっちに来いよ!飲もうぜ!」
私はわかりましたと返事はしたものの盛り場は好きではないので、宿に荷物を置くと、この日はそのまま眠りに就くのでした。
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