忍び寄る魔の手

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3月14日(土)東京出発279日目、アンゴラ2日目 カビンダ

さて、私はここカビンダからアンゴラの本土に向けて船を探さないとなりません。ある程度の情報があることはわかっているのですが、情報を得るためにもインターネットに接続できる必要があるのでsimカードを買いに行きます。

宿の人にどこでsimカードが買えるかを聞くと、わざわざ案内してくれると言ってくれました。

ここアンゴラの公用語はポルトガル語で、英語を話せる人は少ないのですが、モバイルショップに行っても周りの人たちが気を使ってくれて助けてくれるので問題なくsimカードを購入することができました。

アンゴラでは自国の通貨であるクワンザに対する信用があまり無く、USドルを欲しがる傾向にあるようで、闇両替でUSドルをクワンザに両替すると実際の相場よりもだいぶ良いレートで両替してくれるという情報も得ていました。

街を歩いていると闇両替商っぽい男が話しかけてきます。

レートを聞くと100USドル=55,000クワンザで両替してくれるというので(一般の相場では100USドル=49,000クワンザ)だいぶお得だと思いお願いすることにしました。

すると複数人の男たちがやって来て、ここでは警察の目もあるから人目の付かないところに行こうと言います。

恐らく大丈夫だとは思うのですが、複数の男たちに人目の付かないところに連れていかれるのも良い気がしないので断ります。

「なんでだ?」

と聞かれたので、ふざけて「お前らみんなで俺を人目の付かないところに連れて行って殴る蹴るの暴行を加えるだろ?」と笑いながら仕草を交えて伝えると、そんなことするわけないだろって向こうも笑いながら応じていました。

しかし、こちらの気持ちを汲み取ってくれたようで、周りから見えないようにみんなで囲んでこの場で換金してくれることになりました。

私が20ドル札と10ドル札の組み合わせで100ドルを渡すと、急に100ドル札では無いからこれなら45,000クワンザだと言い始めます。

どうしてもクワンザが欲しかったわけでもないので、「だったら両替は必要ない」と言うとそれは困ると言った顔で渋々55,000クワンザを渡してきました。

向こうがこちらの渡した100ドルを確認すると今度は「2017年発行のお札は良いけど、2009年発行のお札は嫌だ」と言い始めます。

2009年発行のお札がぼろぼろだったらその言い分はわかるのですが、きれいなお札なのでこちらとしても腑に落ちません。

それにそれ以外のお札はこのとき持ち合わせていなかったため交換もできないのでめんどくさくなり、すべて断ることにしました。

最初言ってたことからコロコロ話を変えてきたりイチャモン付けてきたり、本当にめんどうな奴が多くて辟易します。

ま、手元にはすぐには困らない程度のクワンザがあるので問題ないです。

さてさて、それでは情報を集めるために一旦宿に戻ろうとすると、なんと私の宿の隣の食堂の前に見たことのあるXL125が停まっています。

このXL125は!!

私は歓喜の声を上げて食堂に入り

私:「クリス!」

と叫びます。

クリス:「わぉ!ヒデ!」

もちろんドリジーからポワントノワールに同日に向かった私たちがここカビンダで再会するのは不思議なことではないのですが、クリスはカビンダからコンゴ民主に抜けて再度アンゴラに入る予定だと聞いていたため、敢えてカビンダの中心部には滞在しないで(人が多いところに行けば当然治安面の不安や渋滞などに巻き込まれる率が上がるので)、中心からは少し外れたところからそのままコンゴ民主に向けて走るものだと思っていました。

私:「クリスはコンゴ民主に行ってそこからまたアンゴラに入るんだよね?」

クリス:「その予定だったんだけど、最近のコロナ騒動でコンゴ民主には入れない可能性が高いんだ。実は昨日マイケルから連絡があって、ブラザビル(コンゴ)からキンシャサ(コンゴ民主)への国境は閉鎖されてしまったらしい。コンゴは近いうちに空港も含めた国境を近いうちに全部封鎖するみたいだよ。だからマイケルはブラザビルにバイクを置いてそのままドイツに帰国するらしいんだ」

私:「え?本当に?!あ!!クリス!これ見て。ガボンはすべての国境を封鎖したって!ンデンデ-ドリジー間もダメみたいだよ。たった5日前に我々はここを通過して、そのときは何でもなかったのに…」

クリス:「本当にこれはマズいなぁ。コートジボワールも完全に封鎖だって…。それからヒデはマックスのことは知ってるんだっけ?マックスは今カメルーンにいて全ての国境が封鎖されてしまったから身動き取れなくなってしまったらしいんだ。幸いにも現地の人と仲良くなってその人の家に泊めてもらっているらしいんだけど。僕たちも急がないと大変なことになってしまうかもしれないよ…。ヒデはこの先どうするんだっけ?」

私:「俺はコンゴ民主のビザが取れなかったからここからアンゴラの本土に向けて船にバイクを載せるしかないんだ。ちょうど今から船を探そうとしていたところなんだ」

クリス:「僕もちょうどコンゴ民主に行くか船でアンゴラ本土に送るか迷ってたところなんだ。情報集めもしたいから、一緒に船会社に行く?僕のバイクの後ろに乗って良いよ」

私:「ありがとう!それは助かるな」

そういうとお会計を済ませて我々は早速船会社の事務所を訪ねることにしました。

クリス:「うーん。船会社はこの辺りだと思うんだけどどこも閉まっちゃってるな…。そうか!今日は土曜日だからやってないのかも…」

私:「そうか!今日は土曜日だった。あと俺の知っている情報だとアンゴラのライダースクラブのジュリオ・シルバさんという人がカビンダに住んでいるらしいんだ。その人がカビンダから本土に向けてバイクを送る手伝いをしてくれるかもしれないっていう話だよ。その人の家の場所も分るから行ってみない?」

クリス:「ぜひ行ってみよう」

カビンダは中心部にほとんどすべてのものがそろっているので移動が少なくて大変助かります。シルバさんの家もすぐ近くにありました。

高い外壁に囲われたお屋敷がシルバさんのご自宅でした。

インターホンを鳴らしてスペイン語のできるクリス(アンゴラの公用語はポルトガル語ですが、ポルトガル語とスペイン語は大変似ているようでお互いにかなり理解できるようです)が事情を説明してくれます。

中に入れてもらうとシルバさんはどうやら仕事中だったようですが、我々の話を聞いてくれました。

シルバさんの書斎にはバイクの模型が飾ってありました。
これはYAMAHA YZ250
こっちはHONDA XR400
シルバさんは日本車が好きみたいです。
現在はHONDA Africa twinとYAMAHA Super Tenereに乗っているようです。
日本には世界中のライダーが憧れるバイクがたくさんあるのに、日本では規制規制規制でどんどんこの産業が苦しくなってしまっているのが悲しい限りです。
実際に日本ではバイクに乗る人も全然少ないですしね(>_<)

まずはクリスがコンゴ民主の現状を聞くと、やはりマイケルの言ったようにコロナ騒動で今から入国するのは大変だと思うということでした。それを受けてクリスもカビンダからアンゴラの本土に向けて船を使うことに決めたようです。

クリス:「そういえばリョウはどうするって言ってたっけ?」

私:「彼も同じ船を使ってアンゴラ本土にバイクを送るはずだよ。ポワントノワールで病院に寄ってからこっちに来るって言ってたから、今日か明日にはカビンダに来るんじゃないかな?」

クリス:「リョウは体調でも悪いの?」

私:「耳垢を取ってもらうために病院に行くみたいだから大丈夫だと思うよ」

クリス:「すぐに来るんだったら一緒に運んでもらった方が良いよね?」

私:「シルバさんの手間を考えてもそっちの方が良いと思う。クリスは時間的に待ってて大丈夫?」

クリス:「僕は大丈夫だよ。それに今日は土曜日だから、手続きができるが月曜日以降みたいだから」

私:「OK。じゃ、俺からリョウさんには連絡するよ」

そう言って、私はリョウさんのメッセンジャーに「カビンダからの船にバイクは一緒に載せたほうが良いからカビンダに着いたら連絡ください」とのメッセージを残しました。

シルバさんはポルトガル語しか話せないため、私はほとんど会話をすることはできませんでしたが、カビンダに滞在している間はこの家で寝泊まりして良いよと言ってくださいました。

しかも食事もいつもご馳走してくれるのでした。

一旦宿に戻り荷物を整理してシルバさんの家に行こうと思ったのですが、広げてしまった荷物を慌ててパッキングするのも億劫になり、この日はもう一日この宿に滞在することにしました。

昼寝をして、起きると時刻は夕方になっていました。

ふとスマホを見るとリョウさんから返信が来ていました。

リョウさん:「先ほどカビンダに到着しました。同じ宿にいます。気づいたら連絡ください」

部屋から出て見るとちょうど私の部屋の正面がリョウさんの部屋だったようで、部屋の前でタバコを吸っていました。

リョウさんにはシルバさんのことを伝え、月曜日以降に手続きを開始することと、その間はシルバさんのご自宅に滞在可能なことを話しました。

世界的に広がるコロナ騒動。ついに、そして急速にその魔の手はアフリカにも広がり始めています。

この先、私の旅はどうなってしまうのでしょうか?

今後難しい状況判断を迫られるときが来ることは間違いないと思われます。冷静に状況を見て、しかるべきタイミングではしかるべき判断ができるように、今このときから考え始めないといけない時期にきているのかもなと思い始めました。

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