TIA

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3月17日(火)東京出発281日目、アンゴラ5日目 カビンダ~ソヨ 飛行機移動

朝7時

8時出航のフライトに間に合わせるため、私たちはカビンダの空港に来ていました。

シルバさんに大変お世話になり、この日も車で空港まで送ってくださいました。

カビンダの空港にて

シルバさんも明日はアンゴラの首都ルアンダに行くそうです。

案の定飛行機は1時間ほど遅れて出港しました。

小さなプロペラ機で大変心許なく、乗っている子供たちは怖いのか大声で泣いている子も何人かいます。しかし、毎日2便本土とこのカビンダを往復しているそうですので問題ないでしょう。

ところがソヨの空港に着陸が成功すると乗客からの拍手喝采です。

私:「なんだってみんなしてこんなにも拍手しているんだ?」

クリス:「そりゃ、こんな小さな飛行機に乗ってみんな怖かったんだよ」

国内線なのでそのままほとんど素通りで通れるかと思っていたらそうは問屋が卸しませんでした。

クリスが別室に呼ばれていきます。30分くらい経っても戻ってきません。私とリョウさんのパスポートも取られたまま返ってこないので、仕方なく私は様子を見に行きました。

すると事務所の職員から椅子に座るように言われます。

職員:「あなたはたくさんの国に出入りしているようだけど、どういうルートでここまで来たか教えてちょうだい」

私:「ロシア、モンゴル、中央アジアからトルコを抜けてヨーロッパに入りました。スペインからモロッコに渡り、モーリタニア、セネガル、ギニア…etcといった感じです」

職員:「スペイン?!スペインの前はどこにいたの?」

私:「フランスです」

職員:「その前は?」

私:「イタリアです」

職員:「イタリア?!スペインにもイタリアにもいたの?!」

信じられないわというようなオーバーアクションと大声で周りの職員たちにも訴えています。

空港で働くような職員なのにどうしてこいつらはこんなにもアホばかりなのでしょうか?コロナ騒動が始まったのはほんの2か月前。ヨーロッパで騒がれるようになってからでも1か月も経っていません。これだけの国を回って来てほんの2~3週間前にヨーロッパにいたわけがないのです。

自分たちが少しでも差別的な対応をされると大騒ぎするのに、自分たちはアジア人(特に中国人)に対してひどい差別をすることは平気なのです。

とりあえず私は直近でコロナの流行地域にいたわけでは無いので、そのことを説明しパスポートを返してもらいました。

それでも時刻はまだ10時を少し回ったところです。船は午後2時~3時くらいに港に到着するということでしたので少し時間はあります。

近くの食堂で朝食兼昼食を摂ることにしました。

クリス:「南アフリカに陸路で入るのは絶望的になったらしい。ナミビア、ボツワナから南アフリカに入る陸路の国境はすべて封鎖されてしまったらしいんだ。だから僕は恐らくルアンダ(アンゴラの首都)でこの旅を終わりにすると思う。家族も心配していて帰ってくるように言っているし」

私:「そうか…。つい数日前まではアフリカはコロナの影響はほとんどなかったけれど、あっという間だったね」

クリス:「コンゴも国境が封鎖されたらしいよ。僕たちはラッキーだった。コンゴに比べたらアンゴラの方が圧倒的に環境が良いし、アンゴラはまだ封鎖されていないから帰国しようと思えばまだそれも可能だ。コンゴに閉じ込められてしまっていたら最悪だったよ」

この時点で私がとりあえずのゴールと考えていた南アフリカまで到着することはできないことがわかりました。

さてどうしたものか?

今の状況を考えれば時間が経てば経つほど状況は悪化するのは目に見えています。

この時間のない状況でバイクを日本に輸送する手続きをするのはまず難しいでしよう。そうなると私がこれから考えることはいかに安全な場所にバイクを保管してもらって、どこから日本に帰国するかです。

クリスはルアンダでシルバさんから紹介してもらったバイカーズクラブの人の所にバイクを置かせてもらって帰国する予定だそうです。

私のバイクもそこに一緒に置けるのかをクリスに確認してもらったところ、十分なスペースがあるのでそれは大丈夫とのことでした。

あとは実際にどのような場所なのかを見させてもらって、大丈夫そうならそこで私の旅を終えることも視野に入れないといけないなと考え始めました。

午後2時

私たちは船が到着するという港に行きました。

そこは日本人がイメージするような港とは違って、ただの砂浜にたくさんの船がひしめいて着岸し、たくさんの人が行き交う大変汚い場所でした。

言われていた3時を過ぎても船は一向に現れる気配が無かったのでクリスが船会社の職員に電話をしてくれます。

すると

クリス:「1時間後に着くって」

とのことでした。

しかしさらに1時間待っても船が着く気配が無かったので再度クリスが電話をすると

クリス:「1時間後だって」

ということでした。

このときクリスがある言葉を教えてくれました。

「TIA」

This Is Africa(これがアフリカだ)

の頭文字を取って「TIA」というそうです。これは2006年公開のレオナルドディカプリオ主演「ブラッドダイヤモンド」の映画で出てきたフレーズだそうです。シエラレオネのダイヤモンド産業の闇を追ったサスペンス映画だそうです。

「TIA」…

アフリカに来て感じたことは都市部の目覚ましい発展と、その裏にある格差社会です。富がうまく分配されれば苦しむ人の数も減るだろうにと思います。
それが今の「TIA」なのかもしれません。

しかし一方で教育を受けられる子供の数も飛躍的に伸びていると思われます。アフリカにいても朝や午後の時間帯には制服を着て登下校する子供たちの姿をたくさんみかけます。アフリカだけの統計はわかりませんが、世界全体として95%以上の子供たちが学校に通えるようになり、女の子だけでみても90%以上の子供たちが現在学校教育を受けているという話も聞いたことがあります。

今の子供たちが大人になるころには、「TIA」がまた別の良い意味に書き換えられる未来になっていることを願ってやみません。

午後4時を過ぎたあたりから降り出した雨は激しくなり、午後5時過ぎ、ようやく私たちのバイクを載せた船がやってきました。

また船の従業員が「金を払え」と言ってきます。すでにカビンダにいたときにバイクを受け渡し時にはお金はかからないという話を聞いているのでクリスが船会社に電話をして、さらにその内容を近くにいた警察官に聞いてもらい、警察官からこの船の従業員にお金の要求はしないようにと言ってもらいました。

それでも中にはこっそり私のところにやって来て「金をよこせ」と言ってくる輩がいます。

最初は黙って無視をしていたのですが、いざ私のバイクを下ろす段になると、なんと私のバイクのミラーを引っ張られて両方とも取れてしまっていました。

実際は折れてしまったわけでは無いのですぐに付け直せるものではあったのですが、あまりにも「カネカネ」うるさい奴らがいるので、

私:「うるぁぁ!見ろコレ!折れてるじゃねぇか!あぁぁ!こらぁ!おめぇら全員カネ払えや!オラァ!カネ払えよコノヤロー!オラァ!カネ払えや!」

とカネカネうるさい奴らに言うと、みんな苦笑いはするもののスゴく嫌そうな顔をしていました。

どうだコノヤロー!カネカネ言われるとすげぇ嫌な気持ちになるってわかったか!てなもんでした。

無事バイクを受け取り、宿に戻ります。

明日、我々は首都のルアンダを目指します。

昨年の9月にスイスを出発したというクリスの旅において、明日が最後のツーリングになります。

私もいつ最後のツーリングの日を迎えることになるのか今は全く状況がみえません。ただ、このとき決断の時期を見誤らないことが大切なことだけはわかっていました。

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