シルバインさんとジャスミンさん

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2022年8月25日(木)2回目東京出発21日目、この旅トータル306日目 ナミビア8日目 ウォルビスベイ~ウィンドフット 走行距離423km

たった2泊でしたがこの落ち着いた街ウォルビスベイを離れ、この日は首都のウィンドフットを目指します。

朝食を終え、少しゆっくりしてから宿をあとにします。
宿の女主人は物静かな方ですが「滞在はいかがでしたか?楽しめましたか?」と最後に優しく微笑みながら聞いてくださいました。

フラミンゴ以外何もない静かな街なので、今後私がこの街を再び訪れる可能性は非常に低いですが、それでもとても素敵な街であったと私の記憶に残ることは間違いないです。

お昼くらいには海岸線にフラミンゴがたくさんやってくるという話でしたが、チェックアウトの11時にくらいにはまだフラミンゴはそれほど多くなく少し残念ではありました。

この時期のナミビアは朝はとても寒いです。そしてウォルビスベイは日中になってもそれほど気温は上がりません。
冬の装いで出発しますが、この時点で内陸に入ったら気温は上昇して暑くなることは予想できます。しかし、本日の目的地の首都ウィンドフットは標高1700mほどの場所にあるため、また夕方にはまた寒くなることが予想されるので温度調節が本当に難しいです。

そしてそれが本当に体力を奪うのでこのまま毎日のように移動するのは体力的に大変です。
ウィンドフットではこの時点で2泊し、一日は体力の回復に努めることに決めました。

ウォルビスベイを出発してから内陸に150kmほど入ったくらいから予想していた通り大変気温が上がってきました。冬の装いでは暑くて仕方ないのですが、またすぐに気温が下がってくることを考えてそのまま走ります。

ウィンドフットに近づくにつれて多少気温は下がってはきましたが、寒いというわけではありません。冬の装いでは少し暑いくらいですが、耐えられないというほどではありません。

ウィンドフットの街中に入りやってしまいました!…。
信号が変わりそうだったのですが、そのまま行けるか?と思い少しスピードを上げたのですがやっぱり駄目だと思い急ブレーキをかけて止まります。すると後ろから来た車は私はそのまま進むものだと思って間一髪追突されそうになったところを避けてくれました。

本当に間一髪でした。
疲れは本当に危険です。いろいろな判断力を失わせます。

事前に調べていたウィンドフットの宿に到着し、レセプションに行くと対応してくださった白人のマダムが私の顔を見るなり「あなた大丈夫?!とても疲れた顔しているわ。とにかく良いから荷物を持って部屋に行ってゆっくり休みなさい」と言います。

確かに疲れています。でも初対面の方にそんな風に言われるほど私の顔は疲れていたようです。
確かにオプウォで砂嵐に見舞われてからずっと疲れているのは確かです。最初から2泊するという判断は正しかったようです。というより、もっと早くにしかりと休みを取るという判断が必要だったかもしれません。

レセプションには行ったり来たりしている白人の男性とアジア人の女性がいて、初め宿の従業員かと思ったのですが、この方たちもご夫婦のツーリストのようです。

旦那さんの名前はシルバインさん。フランス人だそうですが9年ほど前から南アフリカに住んでいるそうです。化学メーカーのエンジニアと言っていました。奥様はジャスミンさん。マレーシア出身ということでしたが、パリのホテルで働いていたことがあり、今は専業主婦ですと恥ずかしそうに言いました。
いやいや、専業主婦でもご夫婦で仲良く旅行されるということは、旦那様のご期待に沿ってきちんとご自身の役割を全うされていらっしゃる証拠です。十分に立派な職業だと思います。

シルバインさんもジャスミンさんも日本人にはとても聞き取りやすい英語を話すので会話が楽です。

そして二人ともすごく私に気を使ってくださり優しくしてくださいます。

シルバインさんは次は日本の京都を旅行したいなーなんておっしゃっています。
日本に行ったことはありますか?と私が質問すると

シルバインさん:「いや、一度もない。仕事で行くにしても言葉の問題があって大変難しい。せめて英語が通じれば良いんだけれども。でも、日本は日本独自の文化があり習慣があり大変興味深い国だと思う」

と言います。

私が子供のころ、私たちが大人になるころには英語は必須なんて言われていましたが、実際に日本に暮らし日本で働く人にとって英語が必須な人はほんの一握りでしかありません。人口がある程度大きく数十年前までは市場規模も大きかった日本も飽和状態になっていることを考えると、今の状況はマズいというのはやはり確かなことでしょう。

そして言葉の問題が障壁となって海外から人材を受け入れられないとなるといよいよ厳しいのは明らかです。
日本人は世界的に見て英語はできる民族だと思います。ただ話そうとしないだけ。
私の英会話も海外で身に付けたものではなく、日本にいてオンライン英会話を継続することでコミュニケーションを取るには困らないレベルにはなったというものです。そして、私自身もともと英語が得意だったわけではないですが、中学高校の基本的な英語の知識があったために、それほど苦労していません(とは言っても私の英会話もまだまだだとは思います。実際に洋画を字幕なしで見るのはかなり厳しいですし)。

私程度の人間であってもそれほどの苦労をせずにある程度の英会話を身に付けられたことを考えると、大半の日本人は日本にいながら十分に英会話を身に付けられると思います。

今の時代、オンラインにていくらでも外国語を身に付ける機会を作ることができます。しかも英会話は勉強というより単なる訓練なのでそれほどハードルが高いものだとも思いません。言葉は単なる道具でしかありませんが、今後の日本の発展のためにも日本国内では英語は普通に通じるくらいの国になって欲しいとは思ってしまいます。

シルバインさんとジャスミンさんは明日には出発するのでスーパーに買い物に行きます。

私は疲れをいやすために宿のバーでビールを飲みます(これが疲れが取れない原因だろうか?いやそんなはずはない…)。

この宿のバーはセルフで自分で冷蔵庫から飲み物を取り、自分の部屋に付けます。
私一人がバーでビールを飲んでいると、この宿のオーナーと思われる一人の白人の老紳士がやってきます。

二人でテレビでクリケットの試合を見ます。この老紳士はクリケットとラグビーのファンだそうです。ナミビアもイギリスの植民地だったため、イギリスで人気のあるクリケットとラグビーは人気があるのかもしれません。

そこにシルバインさんとジャスミンさんが帰ってきました。

シルバインさん:「ヒデはクリケット好きなのか?」

私:「いえ、正直クリケットはあまりよく知らないんですよ」

シルバインさん:「俺も実はクリケットは良く知らないんだ。ヒデはなんのスポーツが好きなんだ?」

私:「(実際は野球が好きですが世界的にもメジャーでないし、サッカーは代表の試合しか見ないし…)そうですね。実は私は昔、空手と柔道の選手だったんですよ(正確には違いますが空手と柔道を足したような競技をやっていました)」

シルバインさん:「おー!柔道か!柔道ならフランスでは文化として根付いているよ。実は俺も柔道やっていたんだ。フランス人はだいたい子供ころにみんな柔道をやっているんだ」

私:「はい。知っています。だから柔道の強い選手も多いですよね。例えば重量級のリネールとかは日本でも有名人ですよ」

シルバインさん:「そう。リネール。あいつは強かった。ラグビーはどうなんだ?日本では人気があるのか?」

私:「はい。ワールドカップはすごい盛り上がりましたよ」

シルバインさん:「そうだよな!なんたって前々回の大会では日本チームは南アフリカに勝ったんだ!」

私:「あれは本当に興奮しました。奇跡ですね」

シルバインさん:「奇跡なんかもんか!あのときの日本チームは本当に勇敢だった!」

そうです。ブレイブブロッサムズ。桜の紋章を胸に掲げた勇敢なチームです。
南アフリカを破ったあの試合。残り時間わずかで日本はキックという選択肢もありました。キックが成功すれば同点となり、圧倒的格上の南アフリカに引き分けという大変な番狂わせを起こせる場面です。キックを選択して確実に同点を狙うかと誰しも思ったあの場面で、ブレイブブロッサムズはあくまで勝ちにこだわりリスクのあるランを選択します。そしてトライを決めて歴史に残る大逆転の大金星を挙げたのでした。

2016年だったでしょうか?
私も大きな勇気をもらった一人です。

その横でジャスミンさんとオーナーの老紳士はナミビアの観光地について話をしています。
するとウォルビスベイという単語が聞こえてきました。

私:「ウォルビスベイですか?私は昨日までウォルビスベイにいましたよ。フラミンゴを見に行きました」

シルバインさん:「おー、フラミンゴがいるのか?」

私:「あと、その少し北にいったケープクロスにアザラシを見に行きました」

オーナー:「アザラシ見に行ったのか?あのくせー奴を」

やっぱりそうですよね。アザラシの印象と言えばくせー奴になってしまいますよね…。

シルバインさん、ジャスミンさん「アザラシは臭いのかー。そうか臭いんだー」

とそんなこんな話をしているとオーナーさんが注文を取ってくれた夕食が届きました。
シルバインさんとジャスミンさんは今朝方南アフリカを出発して朝から何も食べていなかったようです。

食事をしながら談笑し、この日は更けていくのでした。

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