オーグラビーズの滝

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2022年8月31日(水)2回目東京出発27日目、この旅トータル312日目 南アフリカ2日目 スプリングボック 走行距離340km

朝、自炊するためにクッカーを取りにテネレさんの所に行くために外に出ました。
昨日に引き続きすごい風です。BMW GS1200が4台ほど停まっています。同じ宿の棟に泊まっているのは確かなので少し話をしたいとは思うのですが、まずは朝の支度が先なので部屋に戻ります。

朝食の片づけをしているとバイクのエンジンを暖気している音が聞こえてきます。

クッカーをパニアケースに仕舞いにテネレさんの所に戻ると、何人かの黒人ライダーが出発の準備をしていました。
そのうちの一人が話しかけてきます。

黒人ライダー:「俺はウガンダ出身だ。たくさんの国を回って来たぜ!ウガンダはもちろんモザンビークにボツワナにタンザニア、マラウイ…。とにかくたくさんだ。お前はどこから来たんだ?」

私:「私は日本から来ました」

黒人ライダー:「ん?日本?飛行機で来たのか?」

私:「いえ。バイクで来ました」

黒人ライダー:「…。ってことは、世界中を旅しているのか…?」
そう言うとすごく寂しそうな目で私を見つめてきました。
どうやら彼にとってはたくさんの国をバイクで旅しているというのが自慢なようです。そこにご自身よりも広い範囲を旅してきた私に出会って彼の自尊心が打ち砕かれてしまったのかもしれません。
私の中で差別的な意識はないつもりなのですが、黒人の方のこういう悲しそうな顔を見ると切ない気持ちになってしまいます。

別にそんなつもりではなかったのですがとても申し訳ない気持ちになってしまいました。私からしたらタンザニアもモザンビークもボツワナも是非回ってみたい国で、彼の旅はとても素敵なものだと思いますし、私なんてへなちょこライダーなのでそんな悲しい顔する必要なんて全くないのですが…。

黒人ライダー:「日本は世界一のバイクの国だ。お前のバイクはテネレ660だな。良いバイクだ。本当に良いバイクだ」

そうなんです。テネレさんは旅バイクとしては世界一のバイクです。私の旅がへなちょこだったとしてもテネレさんが世界一の旅バイクであることは間違いないと私は思っています。彼らの乗るBMW GS1200は確かに高級車であり、旅をする人にとっては憧れのバイクかもしれせんが、性能面、メンテナンス性、頑丈さ、すべてにおいて私はテネレさんの方が勝っていると思っています。そもそも私の体格ではBMW GSは大きすぎて扱えませんし…。

海外に行けば日本車に憧れるライダーもたくさんいます。カザフのライダースクラブの方は私のテネレさんを見て「このバイクは私の夢なんだ!いつか同じバイクで世界を回ってみたい」って言っていました。小さな島国である日本のメーカーが努力を重ねて4大メーカー(HONDA、YAMAHA、SUZUKI、KAWASAKI)と呼ばれるほどのバイクメーカーを生み出したにも関わらず、国内では規制規制規制で良いバイクが作れなくなり衰退の道を歩んでいます。一方で海外メーカー、特にヨーロッパでは自国のメーカーに有利な法律の中で最近では日本車よりもいいバイクをたくさん作っています。

これはバイクに限った話ではありません。約20年前くらいまでは日本のラジコン飛行機の技術力は圧倒的に世界一だったにも関わらず、数年前から今後の技術して注目を浴びているドローンの飛行をほとんどの場所で規制をかけてしまい、ドローン技術は今では東南アジア諸国にすら負けてしまっていると言われています。

海外では日本製のバイクに乗っているというだけで声を掛けられ、多くの人がそのことについて楽しそうに目を輝かせるのに、その誇るべき技術を持っている日本人が自らの手でどんどん衰退させてしまっていることを悲しく思います。

明るい黒人ライダーたちに別れを告げ、私はこの日、ここスプリングボックから東に300kmほどのところにあるオーグラビーズの滝を目指すことにしました。

この日もスプリングボックは強風が吹き荒れています。とにかく横風がきつく、気を抜くと反対車線に飛ばされてしまうので最新の注意を払って運転をします。また、途中どんどん気温も下がっていき、冬の装備でバイクに乗っていても寒いです。
途中のガソリンスタンドで休憩を入れ、ガソリンスタンドの店員のおばちゃんに「寒いですね」というと、「うーん!本当にすごく寒い」と言います。

ここから更に東に進むと標高が上がっていきそうなので寒くなるかと思っていたらむしろ基本はどんどん上がって行きました。
このあたりの地域は農村地帯で、ロシアの東側を走った頃のようにコバエが飛び交い、テネレさんのフロントシールドやパニアケースがコバエの死骸でベタベタになります。町を歩く人たちもうちわのようなものを手に持ち、顔の前のコバエを払いながら歩いています。

昨日、イタリア人カップルのロスさんとマリーさんに教えてもらった宿に到着するころには気温もかなり高く暑いです。
このように1日の中で何度も寒いのと暑いのを繰り返すことが非常に疲労感を感じさせます。

宿に到着し、少しゆっくりしようと思い、最初から2泊したいと宿の人に伝えたところ、部屋は2泊分確保してくれたのですが、とりあえず支払いは一泊分だけにしておいて、キャンセルしたくなったらそうしやすいようにと配慮してくださいました。
きっとこの場所にはオーグラビーズの滝しかないため2泊もする必要はないのではないか?と宿の方も考えてくださったのかもしれません。

荷物をバイクから降ろして少しだけ休憩を取ると、まだ時間もあるので早速オーグラビーズの滝に行くことにしました。
オーグラビーズの滝は宿から10kmほどの距離なのですぐに行けます。

オーグラビーズの滝も先日ナミビアで訪問したフィッシュリバーキャニオンのようにほとんど手つかずの場所かと思っていたら、立派な門や博物館が併設された国立公園の中にありました。

入り口で240南アフリカランド(約1900円)を支払い中に入ります。滝までも遊歩道が設置され完全なる観光地となっています。数百メートル遊歩道を歩いて行き、オーグラビーズの滝を目の前にすると確かに大きな滝ではあります。しかしかと言ってわざわざここまで来て見る価値のあるものかと言われるとどうだろうかと首をかしげる程度のものでした。再度受付に引き返して入り口の所にあるこの滝の紹介の写真を見ると、雨季にはかなりの水量になって大迫力なのだろう写真が掲載されていました。残念ながら今の季節は乾季のためイマイチ迫力に欠けるようでした。

宿に戻る道すがら、やはり宿の方が提案してくださったようにここに2泊するのではなく、明日には先を目指すことにしました。本当にここには滝以外何もなく、携帯の電波も届かないうえに宿にもwifiがありません。ゆっくりするにも本当にやることがないのでそういったことも含めて宿の方はキャンセルしやすいようにしてくださったのだと思います。

うーん、果たして1日かけて本当にここまで来る必要があったのだろうか?失敗したなーと思います。スプリングボックから真っ直ぐ南下していればこの日のうちにこの旅の終着点であるケープタウンに到着し、帰国の準備を開始できていました。しかしここオーグラビーズからですとケープタウンまで2日は必要です。それでもやっぱり行っておけば良かったなと思うよりかはマシだと思い気持ちを切り替えてこの日も早々に21時頃には就寝いたしました。

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オーグラビーズの滝への2件のコメント

  1. アバター 大矢 俊宏
    大矢 俊宏 コメント投稿者

    はじめまして
    いつも 仕事の昼休みの時間に楽しく 読んでます
    無事 旅が再開出来て本当に良かったです
    写真があるともっと興味深くなれるので・・・・
    気をつけて これからも 良い旅を続けて下さい

    • アバター hide
      hide コメント投稿者

      大矢さん
      コメントありがとうございます!
      おっしゃる通り読み手のことを考えれば写真の掲載はあって然るべきですよね
      ネット環境が不安定なことも多く、怠けていました

      一考いたしますm(_ _)m