• カテゴリー別アーカイブ 012_ジョージア
  • トルコ入国

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    9/26(木)東京出発110日目、ジョージア9日目、トルコ1日目 バトゥミ~オルドゥ 走行距離384km

    前日滞在したバトゥミはリゾート地であり、私は全然興味が無いので早々にこの街を出ることにしました。

    前日宿の人にオプションの朝食を注文していたので、そちらを食べてから出発します。

    この宿の方は全然悪い人では無いのですが、多少商売っ気が強いなとは感じていました。

    前の日も、後で宿のレビューをお願いしますと何度もお願いされて、別に宿自体もこの人自身も悪くはなかったので、わかりましたとは言っていました。

    しかし、会計のときに朝食代を元々の金額より高く請求されました。

    これは明らかに切りの良い金額にしたくて、切り上げたなってのがわかりました。

    私としてはこの日ジョージアを出てしまいますし、コインのお釣りは邪魔になるので別にその金額で構わなかったのですが、こういうことをされると気分は悪いです。

    その前の日に泊まっていたアハルツィヘの宿のお母さんとは大違いです。

    私は何も言わずにそうですかと言って言われた金額を払いましたが、絶対にレビューなんて書いてやるものかと思いました。

    ここバトゥミの街からトルコとの国境は15kmほどしかなく、すぐに国境に到着しました。

    この国境も事前情報によるとすんなり通れるという話を聞いていたのですが、ジョージア入国の時も待たされたように、ここでもちょっとしたトラブルがありました。

    いつも通りオートバイの登録証の提示を求められたので提出すると、コピーじゃなくて原本を出せと言ってきます。

    日本の自動車登録証ってかなりチープなピンク色の紙ッペラに印刷してあるだけなので、コピーだと思ったようです。

    しかもここまで結構な悪路を走り続けて来たので、クリアファイルの中で他の書類と擦れあって印刷も滲んでしまっています。

    私自身、日本でこの書類を受け取ったとき大変チープな作りであったことから、これがこんなにも大切な書類だと認識していませんでした。たまに警察とかに提示を求められたときに見せる程度のもので、念のため持っておくものくらいの認識でいたら、海外では「マシンパスポート」と呼んでいるくらいの重要書類です。

    それを日本の登録証はとってもチープな紙切れで作ってあります。

    国境の担当官にこれはコピーではなくて原本であると伝えます。日本のものはこれなんだと。

    すると、これが原本だとは思えないと言うのです。

    イヤイヤイヤ、これ原本だから。

    そして別の担当官を呼んで協議を始めます。私の大切な登録証をすごく雑に丸めたりし始めます。

    サスガに言いました。

    「それ、大切な書類なのでそんな風にしないでください!」

    それが勘に障ったのが表情で読み取れました。

    ボーダーにいる人たちは今までいい人も多かったですが、中にはこうやって高圧的な人もいて、何でこういうところにいる人って無駄に偉そうになるのか意味不明です。

    その担当官は携帯の写メで私の書類を撮影したりしましたが、やっと納得してくれたようで手続きをしてくれました。

    ただ、私の手続きに時間がかかってしまい、後ろに並んでいた男がイライラしていたようで、私の手続きが終わるか終わらないタイミングで私の前に入って来て、さらに足元に置いておいたヘルメットを蹴って避けやがりました。

    かなりカチンと来たのですが、実害があった訳でもなく、ここでトラブルを起こしても無駄なので我慢しました。

    ジョージアの人は穏やかでのんびりした人が多いけれど、中にはこういうヤツもいるんだなと思ったのですが、車のナンバーを見たらトルコのナンバーでした。

    トルコ人は親日だという話はよく聞くのですが、トルコで日本人が詐欺に遭ったという話も頻繁に耳にしていたので、もともと私はトルコ人に対する印象はあまり良くありませんでした。

    こういうのは本当は良くないのはわかっていますが、この一件でトルコ人に対する印象は最悪になりました。

    何だかんだで無事国境を越えて、トルコに入ると今までの国とガラリと印象が変わります。

    道路も街並みも大変綺麗になり、先進国に入ったという印象を受けました。

    きっとヨーロッパから陸路で中央アジアを旅行した人は、トルコに戻って来たときに旅の終焉を感じるのでしょうね。

    オルドゥのショッピングモールなんて東京のショッピングモールと大差ありません。
    オルドゥはそこまで大きな街ではないんですけどね(;´д`)

    私はバトゥミからトルコに入り、この日は黒海沿岸をひたすら走ります。

    景色も綺麗で道路も整備されていて大変走りやすいです。

    もしこれが旅の始まりに経験したのなら感動もあったのでしょうが、この道は私には刺激があまりありませんでした。

    国道1号線の湘南の辺りを走っているイメージでしょうか。

    とても綺麗なんです。日本にいたら楽しく走れると思います。

    道も整備されていてとても綺麗なんです(;´д`)
    でも、整備され過ぎてしまっていてイマイチ楽しめないのです(>_<)

    でも、モンゴルやキルギス、パミールハイウェイやジョージアといった国々を走ってきた直後ですとどうしても楽しめません。

    トルコは日本でも人気の観光旅行先でカッパドキアなどの世界的に有名な土地もあるので、これからに期待ですね!

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  • 発展の弊害

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    9/25(水)東京出発109日目、ジョージア8日目 アハルツィヘ~バトゥミ 走行距離165km

    明け方、どうしてもこの宿から見える朝焼けの中のラバティ城とこの町の教会、そしてこの宿自体の姿を見たくて、キンキンに冷え込む日の出の時間に外に出ます。

    朝もやの中に浮かび上がるラバティ城
    教会も朝日に照らされて美しいです
    この宿で過ごした素敵な時間は決して忘れません(>_<)

    この日も豪華な朝ごはんを用意していただき、あと何日でもこの家で過ごしていたいという気持ちを抑えつつ、お母さんにチェックアウトを申し出ます。

    このような古民家ですので、お会計は当然現金になりましたけれど、私もお釣りの無いように現金を用意できておらず、お母さんの方でもお釣りが用意できませんでした。

    お釣りの足りない金額としては2ラリ(75円程度)で、私としてはあれだけたくさん美味しいワインもいただいて、その分の金額は請求されず、こんなにも素敵な時間を過ごさせていただいたのでむしろもっと払わないといけないくらいの気持ちでいました。

    それに2日後にはジョージアを出国してトルコに入る予定であり、コインは寧ろ荷物にしかならないので、「お釣りはいりません。その代わりコーヒーをもう一杯いただいてもよろしいでしょうか?」と伝えました。

    するとお母さんは何度も何度もごめんなさいと謝るのでした。

    そんな風に謝らないでください。言葉はほとんど通じませんでしたけど、あなたのおもてなしは今まで出会ったどのホテルマンのおもてなしよりも温かみがあり、私の心に安らぎをあたえてくださいました。

     

    荷物をバイクに積もうと表に出ると、前日とは打って変わってこの時間にも関わらず息子さんは起きていて友人と遊んでいました。

    私が荷物を積んでいると息子さんが私のところに来て、今日はどこまで行くんだ?と聞いてきます。

    バトゥミまで行くことを伝えると、どの道を通るのか聞いてきます。

    前日にお母さんに言われたようにハシュリ経由で行くことを伝えると、せっかくオートバイなんだから西のルートで行った方が景色も綺麗だし全然楽しいよと教えてくれます。

    近くで聞いていたお母さんが「危ないからそっちから行ってはだめよ」とたしなめるのですが、ここ数日天気も良く気温が高かったから大丈夫だと息子さんは言います。

    また息子さんと遊んでいた友人も来て、この時期ならまだ大丈夫だと教えてくれました。

    心配してくれるお母さんには大変申し訳ないのですが、距離もそこまであるわけではないので、本当に難しそうなら早めに判断して引き返すことも視野に入れつつ、とりあえず西のルートから行くことにしました。

    息子さんの奥さんも娘さんもセシルちゃんもまだ寝ているようでしたので、挨拶ができなかったのは残念でしたが、お母さんと息子さんに一緒に写真を撮ってもらえるようにお願いして、名残惜しくもこの素敵な宿をあとにすることにしました。

    宿のお母さんと息子さんと一緒に\(^_^)/

    多少は心配していたバトゥミに続く西のルートですが、ところどころマディ(泥道)があり、そういったところは慎重に走らないとならなかったのですが、それでも十分走れる道でした。

    しかし、あるところで道が途絶えてしまいます。途絶えたというより、雪解け水が流れ込んでいるのか、道そのものが川になってしまっているのです。

    道全体に水が流れ込み、川になっています(>_<)

    これはマズいです。ここから先、川の中を登って行くことになります。しかしその先が行き止まりだったらどうなってしまうのだろうかと不安になります。

    とにかくこのままバイクに乗って進むのは危険だと判断し、一旦バイクから降りてこの川の先がどうなっているのかを歩いて確認します。

    歩いて確認してみると、幸いなことに200mほど先に川の始まりとなる水源が崖から零れていて、その先はまた普通の道に戻っていました。

    この川の中で転倒でもしたら大変なので慎重に走ります。

    無事、この川を抜けるとたまに現れる短いマディ以外で難所らしい難所もなく走っていくことができます。

    どんどん標高が上がっていき肌寒さを感じ始め、ふと道路脇に目をやると、そこには雪がありました。

    日陰になる場所には雪が残ってました

    ここ数日天気が良くて気温も高かったということで私はこの道を走ることができましたが、やはりこの道を走る場合は数日前からの天気を確認してからでないと危険かもしれません。

    このあたりに民家が点在していますが人が住んでいる気配が全然ありません。もしかしたら冬に備えてこのあたりの住人はすでに下山してしまっているのかもしれません。

    家は点在しているのですが、人が住んでいる気配はありません(;´д`)

    心配してくれた宿のお母さんには申し訳なかったけれど、ジョージアの最後に綺麗な自然の中を走れて本当に良かったです。

    山道の走行であったためやはりそこそこ時間がかかってしまいましたが、お昼過ぎにはバトゥミの街に到着しました。

    このバトゥミの街は黒海沿岸のリゾート地であり、街中はとても開発が進んでいます。私は街中の渋滞を避けるために郊外の宿を予約していました。

    しかし、これは失敗でした。

    バトゥミの華やかなリゾート地の裏側はスラムに近い非常に汚い場所でした。

    街は生ごみの臭いが充満し、車が走るたびに埃が舞います。ドライバーのマナーも非常に悪く、オートバイを運転しているときだけでなく普通に歩道を歩いている時ですら恐怖を感じるような荒っぽい運転をするドライバーがたくさんいます。

    宿の方はとても歓迎してくださり、せっかくバトゥミに来たのだから一泊だけでなく、何日か滞在したらどうなんだ?なんて言ってくれますが、正直私はうんざりだったので、次の日にはすぐにこの街を出てトルコに入ろうと心に誓うのでした。

    一週間程度のジョージアの滞在でしたが、本当にどこもかしこも大変美しく素敵な国でした。

    しかしバトゥミに来て、リゾート地として開発が進んだ結果、このように荒れ果てた場所もできてしまったのかなと思うと少し悲しく感じました。

    きっと日本もそうだったのかもしれません。私が子供のころ、今と比べて町はもっと汚かったように思います。

    空き缶やスナック菓子の袋などがそこら中に捨てられていた光景をなんとなく覚えています。

    開発が進むことで人々は自分個人の利益を追求する期間が発生してしまうのかもしれませんね。でもそれを乗り越えて、この国の人たちがこの国の美しさがどれほど貴重なものなのかに気付いて守って行ってくれるようになることを切に願います。

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  • 片田舎の小さな宿で…

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    9/24(火)東京出発108日目、ジョージア7日目 アハルツィヘ

    宿の方には8時から朝食を取れるようにお願いしたのですが、つい寝坊してしまい8時半頃にこの宿のキッチンに行きました。

    すでに朝食は用意されていて、宿のお母さんが待っていてくれました。

    朝食にしては大変豪華です。

    この日は特にこの町で何かしようという目的がある訳ではなく、ただただこの町とこの宿でのんびりしたかったので、ゆっくりと朝食を取るという意味でも、この豪華な朝食は大変嬉しいものでした。

    朝食を取っているとバタバタと息子さんの奥さんが慌てて車に乗って出ていきました。

    服装からして仕事でしょう。

    息子さんの姿も見えないですし、娘さんもいないので、二人とも仕事と学校に行ってるのかなと思いました。

    しかし、朝食を終える頃に息子さんは寝ぼけ眼で赤ちゃんと一緒に起きてきました。

    この人、昨日の夕方も中庭で友人らしき人たちと遊んでいたけど、仕事はしていないのでしょうか?

    赤ちゃん(セシルちゃん)は起きてきて、子供向けの英語のアニメを見ています。

    私も近くに座って一緒に見ます。

    セシルちゃんはテレビアニメに興味津々

    このセシルちゃん、とても可愛くて、私の顔を見る度に「ハロー」って言いながら手を振ってくれます。

    一時間くらいそこでセシルちゃんと一緒にボケっと過ごしていたでしょうか?

    すると今度は娘さんがジャージ姿で起きてきて「good morning!」と言います。

    …。この子は学校はどうしているのでしょうか? もしかして私が思うより年齢が上で、すでに学校は卒業している年齢なのでしょうか?

    とにかくのんびりおおらかな家族です。

    そしてさらにはまだお昼前ですが、朝出かけて行った息子さんの奥さんも帰ってきました。

    この宿で働いているのはお母さんくらいで、かろうじて娘さんが通訳をしてくれる程度です。

    部屋数も少ないので宿泊客もたくさんは泊められないと思うのですが、この人たちはそんなに働かなくても生活できるのでしょうか?

    でも、とても仲良くて幸せそうなこの家族を見ていると、あくせく働いて家族の時間を削るよりもずっと良いことのように思えました。

    セシルちゃんもアニメに飽きてどこかに行ってしまいましたし、私も外に散歩に出かけることにしました。

    何もないただのいなか町ですが、ほのぼのしていてとても心が休まります。

    何もないただのいなか町ですが、そののどかさに心が癒されます

    散歩をしていると「キュウキュウ」と何かの鳴き声のようなものが聞こえて来たので近寄ってみると、仔犬が2匹鳴いていました。

    仔犬が2匹鳴いていました
    大変かわいいので写真を撮りますが…(O.O;)(oo;)
    これは危険極まりないことでした…

    かわいいので写真を撮っていたら遠くから物凄い吠え声と共に親犬と思われる犬が猛然とダッシュしてきます。

    マ、マズイ(-_-;)

    これは確実にやられる…。

    絶体絶命のピンチです( ノД`)

    噛まれたら一大事です。狂犬病の予防接種は受けているものの、仮に哺乳類に噛まれた場合は、それでも一週間以内に狂犬病のワクチンを接種しないとなりません。

    ていうか、こんなにも興奮している犬に噛みつかれたら狂犬病以前に大ケガするでしょう…(;´д`)

    走って逃げられるものでも無いですし後ろから襲われるほうが危険だと思いました。こちらが完全に悪いのはわかってはいたのですが、一か八か、走ってくる犬にタイミングを合わせて蹴りを入れるしかないというバカな判断をします。

    今考えてみると、例えその蹴りがクリーンヒットしたところで、この興奮した犬を一撃でノックアウトはできないでしょうし、子供を守る親犬がそんなことで怯むとも思えません…。

    本当に生兵法は怪我のもとですよね…(-_-#)気を付けなければ…。

    かと言って、今思い返してもこのときのより良い対応方法は思い浮かばないのですけれども…(-_-#)

    しかし、この絶体絶命のピンチに一台の車が猛然とクラクションを鳴らしながら走ってきて私とその親犬の間に入ってくれました。

    その車はクラクションを鳴らし続け、親犬の注意を引いてくれて、私を逃がしてくれました。

    どこのどなたかわかりませんし、顔すらも拝見することができませんでしたが、この大ピンチを救ってくださり、本当に心から感謝です。

    この車が現れなければ下手をすれば私の旅はここで終わっていたかもしれません。

    犬の視界から消えなければと思い、飛び込んだ敷地はなんと墓地でした。

    犬から逃げて飛び込んだ先は墓地でした

    昼間の墓地なのでおどろおどろしさは無く、むしろ穏やかな土地でした。

    ジョージアの墓石は日本の墓石に似ていますが、墓石には故人の遺影が彫られています(墓石の写真を撮るのはさすがに憚られたのでご容赦ください)。

    中には若い男性の遺影が彫られた墓石もあり、考えさせられてしまいます。

     

    そこそこの距離を歩いて少し疲れたので宿に戻ることにしました。

    宿に戻ると息子さんの友人らしき人たちが数人来ており遊んでいます。

    娘さんも同年代と思われる女の子と一緒に遊んでいます。

    平日の昼間からなんとも和やかな光景です。

    娘さんが私の帰宅に気づくと、また「ワインはいかが?」と勧めてくれます。

    この美味しいワインは大歓迎です。

    私も人のことは言えず、昼からワインを飲んで優雅なひとときを過ごします。

    またもやワインをいただいてしまいました\(^_^)/
    この日はこのまま宿でゆっくりしたのですが、私はこの宿のここから見る景色が大好きでした

    前日はいただかなかった夕食をこの日はお願いしました。夕食にもこの美味しいワインは付いてきます\(^_^)/

    この家族は宿泊客に気を使って、宿泊客とは時間をずらして食事を取っているようです。

    私としては全然この家族と一緒に食事を取っても良いのですが、恐らく向こうが言葉も通じませんし気を使ってしまって疲れてしまうのかもしれませんね。

    食事を終えて部屋に戻ると、この素敵な宿に長居をしたら本当に動けなくなってしまうという危機感から明日の目的地を探します。

    このアハルツィヘから黒海まではほんの百数十キロの距離です。ということで、次は黒海沿岸の街でトルコとの国境にあるバトゥミを目指すことにしました。

    しかし、アハルツィヘからバトゥミまで真っ直ぐ西へ続く道は大変悪いようで、雪が降ると車やオートバイでの通行はかなり困難なようです。

    このあたりのところはどうなのか詳細な情報が欲しかったため、とりあえず英語の通じる娘さんに教えてもらいにいきます。

    まだ年齢の若い娘さんにはさすがにそのあたりのことはわからないようで、お母さんに聞いてくれました。

    私個人としてはお母さんよりも息子さんの方がより正確な意見を言ってくれそうな気がしたので、息子さんに聞いて欲しかったのですが、息子さんの姿も見えず、息子さんが戻ってから聞いてくれとも言えずに、お母さんの意見を聞くことになりました。

    案の定お母さんは、「この季節にその道を走るなんてとんでもない!危ないから絶対だめよ」というような表情でした。

    そして私に、ハシュリという街を経由して北の道を通って行きなさいと教えてくれました。北側の道は舗装されたハイウェイとのことです。

    しかし、真っ直ぐ西に行けば160kmくらいでバトゥミに着くのに、ハシュリを経由して北から回ると倍の320km走る必要があります。

    もちろんハイウェイを走れるなら未舗装路の倍以上のスピードで十分走れるので時間的には全然ハシュリから回り道した方が早そうなのですが…。

    ジョージアの美しい自然の中を走る最後のチャンスかなと思ったのですが、地元の方がそういうのなら従うしかありません。冷静に考えて、無理をしなければならない場面でもないので諦めることにしました。

    たった二日間の滞在で、特に何があるわけでもないアハルツィヘという町でしたが、お伽の国の古民家のような宿で、お伽の国の素敵な家族と過ごした時間は、きっと生涯忘れることのできない素敵な時間になることは間違いありません。

    あなたたち家族がこの先も未来永劫、仲良く幸せに過ごしてくれることを心から願っています。

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  • ジョージアのお城

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    9/23(月)東京出発107日目、ジョージア6日目 トビリシ~アハルツィヘ 走行距離201km

    初日にカズベキ、前日にシグナギに行き、私にとってジョージアは大変癒しを与えてくれる国でした。

    さて、この先どこに行こうかとというところです。

    北の山の方に秘境と呼ばれるような地域があるようなのですが、既に9月も下旬に入り、この時期は雪の影響で通行止めになることも多く、例え通れたとしてもこの時期になると道路状況が悪く大変危険だということでした。

    どうやらこの地域は10月には完全に閉鎖されてしまい、他の地域との交流も一切断たれてしまうので春までの間は住人も全て街に降りて生活するということです。

    もう10月まで一週間であることと前々日にはそちらの地域では雪が降ったということで、これらの地域に行くのは厳しいと思い諦めることにしました。

    宿の他の宿泊客にアルメニアはとにかく人が良くて良い国だよと教えていただいたのですが、特に何があるというわけでも無いようで、また、アルメニアからトルコに抜ける道が無く、結局アルメニアに行っても再度ジョージアに戻ってくる必要があるということでしたので、そちらも行くのはやめました。

    であればジョージアを黒海まで西に抜けてそこからトルコに入ることにしようという結論に至りました。

    トビリシから西のアハルツィヘという町にあるラバティ城は見てみたかったので、この日はアハルツィヘに行くことにしました。

    私は普段、田舎町に行くときは宿の予約はしないで行くことが多いです。

    というのも良さそうな場所があればキャンプをしたり臨機応変に対応できるようにするためです。

    しかしこのときは何故か事前に宿の予約をしてから行きました。

    走り始めるとやっぱりジョージアの道は素敵で走ってて気持ちが良いです。

    本当にジョージアの景色は美しくて優しくて大好きです

    あまりにも景色がキレイなので「失敗したなぁ、宿の予約しなければどこかでキャンプできたのに」と少し後悔しました。後にこの日出会う宿が私にとってとても素敵な場所だったことからこの考えは後程吹き飛ぶことになるのですが。

    アハルツィヘに向かって走っていると左手に崩れかけのお城のようなものが少し離れた所に見えました。

    崩れかけのお城のようなものを見つけました

    この旅に出るまで私自身全く知らなかったのですが、私は西洋の古いお城に興味を示すようです。

    せっかくなので脇道に逸れて行ってみることにしました。

    前日のテラヴィからの帰り道で見つけた崩れかけたお城と違って、このお城には登れないようです。

    どうやら解体工事をしているようでした。

    上から人が手でレンガを壊して下に投げ捨てています。

    上から人がレンガを崩して下に投げ捨てています

    人の手で簡単に壊せてしまうものですので、風などでも簡単に崩れ落ちてしまうのでしょう。安全を考えたら早めに取り壊すのは仕方のないことかもしれません。

    すると私がオートバイを停めたすぐ横をバスが通り過ぎました。

    中に乗っていた驚くほどの美少年が私に手を振ってきました。

    まるで西洋の田舎町を舞台にした映画のワンシーンのようです。

    こんなちょっとしたことも私の心を癒してくれます。

    この古城のすぐ横を流れる川もとても綺麗でした

    ここからラバティ城まではあっという間でした。

    お城自体は観光地化されてしまってはいたものの、それでも中に入るとドラクエのような世界が広がり楽しいです。

    本当にドラクエの世界みたい(^_^)

    お城の中を歩いていると後ろからイケメンの西洋人に声をかけられました。

    イケメン:「表に停まってるテネレ、君の?」

    私:「そうだよ」

    イケメン:「わぉ!俺もテネレに乗ってるんだよ!どこから来たの?」

    私:「日本だよ」

    イケメン:「じゃ、もしかしてパミールハイウェイも走ってここまで来た?!俺も5年前にオランダからパミールハイウェイまでテネレで往復したんだよ!これからヨーロッパには来るの?オランダに来ることがあれば泊めてあげるから是非連絡ちょうだいよ!」

    このイケメンの名前も聞いたのですがうまく聞き取れずに名前はわからないままだったのですが、連絡先と共に大変貴重な情報を私にくれました。

    私はアフリカにはスペインからモロッコに入る予定ではいるのですが、それはやむなくそうしているだけで、もし可能であればエジプトから東側を走りたいと思っています。

    アフリカの西側は細かい国が多く、ビザの取得が大変面倒で、特に北西部の国々は旅というより日本の常識が全く通じない大使館巡りになるということでストレスフルなことと、情勢もコロコロと変わり、昨日まで通れた道が急に通れなくなったり、内戦が急に勃発したりと危険も多いためです。

    しかし今のところオートバイでエジプトに渡る手段が無いのです。

    もちろん東側に入れたとしても現時点でエジプトと特にスーダンの情勢が非常に悪いため、陸路で本当に通過できるかどうかもわからないのですが…。

    ただ、この彼の情報によると、トルコのメルシンという都市から、レバノン、キプロス、イスラエルのいずれかに渡るフェリーが出ていて、そこからエジプトに入れるかもしれないと言うのです。

    もしそれが本当なら大変貴重な情報です。

    とりあえずジョージアの次にトルコに入ったらメルシンという街を目指してみようと決めました。

    この彼と別れて城内を一通り廻った後、予約していた宿に行きました。

    宿に着くと、そこは宿と言うよりボロボロの民家で、本当にここに宿泊できるか不安になるような建物でした。

    ボロボロの古民家で本当に泊まれるの??

    しかし私が到着すると中から非常に明るい元気な高校生くらいの女の子が出てきてくれて「予約してくれてた日本人の方ね!\(^_^)/」と歓迎してくれます。

    この宿にはお母さんと思われるご年配の女性とその息子さん夫婦および赤ちゃん、そして出迎えてくれた娘さんが住んでいました。

    息子さん夫婦の赤ちゃん
    セシルちゃん

    英語を話せるのは娘さんだけだったのですが、みんなとても親切で、全く知らない家族で言葉も通じないのに、ここはとても安らぐ空間でした。

    部屋に入ると娘さんが「オプションで夕飯と朝食を付けることもできますけど、どうしますか?」と聞いてくれます。

    お昼を中途半端な時間に食べてしまっていた私はあまりお腹が空いていなかったので、朝食のみお願いすることにしました。

    さらには「ワインはいかが?」と自家製のワインを勧めてくれました。

    グラスになみなみと注がれたワインは先日シグナギで購入したワインにも負けずとも劣らない美味しいワインでした。

    なみなみと注いでくれた自家製ワイン。
    舌と喉に微かにピリッとくる刺激はジョージアワインの特徴なのでしょうか?
    本当に美味しいです。

    ジョージアワインは日本人が知らないだけで非常に美味しいワインなのではないでしょうか?

    それとも私が飲んだジョージアワインがたまたま非常に美味しいワインだっただけなのでしょうか?

    中庭でワインを飲んでいると娘さんが「ちょっとこっちに来てみて。ここからラバティ城が見えるのよ。とってもキレイなのよ」と呼んでくれました。

    丘の上というより崖っぷちに立つこの民家からは確かにラバティ城が大変美しく見えます。

    昼間見学したラバティ城がこの宿からとても綺麗に見えます。
    夜はライトアップされます

    ここにはのんびりした時間が流れ、この素敵な家族の日常を垣間見ることができます。

    私はこの宿が心から好きだと思いました。

    すでにラバティ城も見学し、このアハルツィヘという町に特段何があるわけでは無いのですが、ただもう少しこの宿の空気を感じたくて、もう一日滞在を延長しようと決めたのでした。

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  • ジョージアワインとシグナギ

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    9/22(日) 東京出発106日目、ジョージア5日目 トビリシ~シグナギ~テラヴィ~トビリシ 走行距離289km

    さてと、せっかくジョージアに来たのだからどこに行こうかとリサーチをしていたところ、同じ宿に泊まっていた方に、シグナギという街が大変美しくまたワインの産地としても有名だと教えていただきました。

    ジョージアワインは是非とも飲んでみたかったこともあり、せっかくなのでそのシグナギという街に行くことにしました。

    シグナギまではトビリシから120kmと十分日帰りで行って帰って来られる距離なのですが、ワインを飲むとなると一泊した方が良いのかと最初は思いました。

    しかし、別の宿泊客が、シグナギなんてオートバイで走れるのか?なんてことを言うものでしたので、道が悪いと荷物を積んで走行するのは大変なので、宿に荷物を置いて日帰りで行くことにしました。

    ワインは買ってきて宿で飲めばそれで良いかなと思いました。

    前日とは打って変わって素晴らしい天気です。

    結局シグナギまでの120kmはほとんど全て舗装路であり、昼前にあっという間にシグナギに到着してしまいました。

    このシグナギという街はとても美しい街でした。

    高台から見たシグナギの街
    私はこの街の雰囲気が大好きです
    町並みもとてもキレイです

    街に着いて、早速お目当てのジョージアワインを購入しようと思いました。

    しかしワインバーはそこかしこにあるのですが、ワインを売っていそうなお店はパッと見ではわかりません。

    私がオートバイを停めると興味を持って近づいてきた親子連れのお父さんにワインを買いたいと伝えます。すると、わざわざお店まで連れて行ってくれました。

    そのお店は一見するとどこにでもある果物やスナック菓子などを売っている街のお店なのですが、ワインが欲しいことを伝えると、店主のご年配の女性が「こっちよ」と手招きして地下に連れて行ってくれます。

    地下のワインセラーって入るの初めてなので写真を撮っていたら、「何やってるの?入って来なさい」と言われました。
    私からしたら珍しいものでしたが、ここで生活している人たちにとっては特段珍しいものでもないのでしょう。

    地下に入るとたくさんのワインが棚に並んでいます。

    でも、ここに並んでいるワインはおそらく一般的にみられる樽で作ったワインだと思われます。

    私が「壺で作るジョージアの伝統的なワインが欲しい」と言うと、「あらそうなの?」と言った感じで、奥から別のワインを持ってきます。

    この珍しい瓶に入ったワインが壺で作ったジョージアの伝統的なワインのようです。

    わざわざ言わないと出てこないことを考えると、これらのワインは伝統的なものとして価値があるだけで味はイマイチなのかもしれないと思いました。

    そして、ワインとは言うものの、ブドウで作った別の飲み物なのかなと。

    どうせ「美味しい」と答えるとは思いつつ念のため「美味しいですか?」と聞くと、なんと試飲させてくれました。

    この床に埋まった壺でワインを作るそうです。
    ここから直接柄杓ですくって試飲させてくれました

    飲んでみて驚きました。基本的な味は私たちが普段飲んでいる樽で作るワインとさほど変わらないのですが、多少舌や喉にピリッとくる刺激があり、それでいて大変飲みやすく、もしかしたら私が今まで飲んだワインの中で一番美味しいのではないかと思うくらい美味しいワインでした。

    数も少ないし高いのかなぁと思いつつ、でも多少高くてもこれは買う価値あるでしょと思って値段を聞いてみると、全く手頃な値段でした(もちろんジョージアの物価を考えれば高いのかもしれませんがこのくらいの価格であれば全然買う価値があります)。

    正直日本でもこの伝統的な製法のジョージアワインが買えたら私はワインはこれしか飲まなくなるでしょうね。

    こちらのワインを買いました。
    この瓶もどうにか日本に持ち帰りたいと思ったのですが、荷物になるので、空き瓶は泣く泣く捨てました

    ワインを購入してちょうどお昼の時間になったので近くの食堂に入ります。

    そこで働いていたお姉さんがとても素敵で、笑顔がとてもキュートでしたので写真を撮らせて欲しいと言ったのですが、恥ずかしがって撮らせてもらえませんでした。

    その後少し街歩きをするのですが、お土産も何もかもかわいらしい物ばかりです。

    かわいらしいお土産物屋さん
    こんな出店もたくさん出ていました
    ワインミュージアムって書いてありますけど、普通のワインバーでした。

    シグナギはワインを売っている観光地と言ってしまえばそれまでなのですが、私はここに来て大変楽しむことができました。

    帰りは同じ道を戻るのもシャクなので、テラヴィというもうひとつのワインの産地を経由して帰ることにしました。

    しかしこちらの町はシグナギとは違ってごくごく普通の町なので特に見るところも無く、ほとんど素通りしました。

    かと言って、テラヴィを経由しなくても良かったかと言うと全くそんなことはなかったのです。

    トビリシに戻る途中、崩れかけたお城のような物を見かけます。

    崩れかけのお城のようなものがありました

    外観があまりにもボロボロですのでさすがに中には入れないだろうと思ったのですが、近くに行ってみるとたくさんのオートバイが停まっていました。

    どうやらトビリシのバイクチームがここにツーリングに来ているようでした。

    私もそこにオートバイを停めると一人のバイク乗りらしき人が来て「どっから来たんだ?」と聞いてきます。

    「日本から来たよ」と答えると「マジかよ!ここに停まってるバイクのほとんどが日本車だぜ!みんな日本車が大好きなんだよ!」と言います。

    「このお城みたいなの登れるの?」と尋ねると、「みんな上に登ってるから、お前もこいよ!」と誘ってくれます。

    上に登るとみんな大歓迎してくれます。

    記念撮影するから真ん中に写れよ!って言ってくれて記念撮影にも混ぜてくれました!

    トビリシのバイクチームの記念撮影に混ぜてもらいました\(^_^)/

    建物の中に入ってみると、まだ礼拝堂として使われているらしく、バイクチームの一人がお祈りをしていました。

    私に気付くとお布施を缶からの中に入れて、私にロウソクをくれました。

    建物の中に入るとまだ今でも礼拝堂として使われていました

    やり方はわかりませんでしたが、とりあえず火をつけて他のロウソクが立ててある台に私もロウソクを立てました。

    ジョージアはこのようにいたるところに礼拝堂があり、とてもキレイな景色が広がり、治安も良く、人々もみんな親切で、本当に素敵な国です。

    「この国に来て本当に良かった」心からそう思える一日でした。

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  • 色鮮やかな世界

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    9/19(木)~9/21(土) 東京出発103~105日目、ジョージア2~4日目 カズベキ~トビリシ 走行距離163km

    カズベキでキャンプをし、明け方4時頃、あまりの寒さに目を覚まします。

    しかし目を覚ましたところで日も昇っておらずテントどころか寝袋からすらも出ることができませんでした。

    とりあえず日が昇って気温が上昇するのを待ちます。

    7時頃に日が昇り、朝食を準備してコーヒーを飲んで、テントを乾かし、なんてことをやっていると気づけば荷物をまとめて出発したのは9時半を過ぎていました。

    キャンプをした場所からトビリシのゲストハウスまでの距離は160kmほどですのでこの日はのんびり走ることができます。

    途中ロバが道の真ん中にいました。ロバって本当に大人しくて可愛いので写真を撮ってやろうとオートバイを停めると、何かくれるのかと勘違いしたのか逃げるどころか寄ってきます。

    かわいいロバが道の真ん中にいました(^_^)

    写真だけ撮ってこちらが避けて先に進みました。何かもらえると勘違いさせてしまったならかわいそうなことをしてしまいました。

    さらに走っているとまたたくさんの車やバスが停まっている場所にたどり着きます。

    出店なども出ています
    ジョージアはハチミツも有名なのでしょうか?
    ハチミツをたくさん売っています

    たくさんの観光客がいることからこれも有名なものなのでしょう。

    私には何かはわからなかったのですが、たしかに荘厳な雰囲気を醸していて観光客が訪れるのも頷けます。

    観光客がたくさんいるので有名なのでしょうね(>_<)
    何かはわかりませんけど、迫力があって純粋にスゴいなって思います

    ジョージアはこのように自然も豊かで教会やお城など観光スポットもあり、普通に走っているだけで本当に楽しいです。

    このモニュメントから見下ろした景色も絶景です\(^_^)/

    この日はそれほどの走行距離ではなかったので午後の早い時間にはゲストハウスに到着することができました。

    荷物をバイクから降ろすとまたサイドケースのステーが折れていることに気づきます。

    パミールハイウェイのホログで溶接してもらったところがまた折れてしまったようです。

    ジョージアも物価が安く、ゲストハウスも一泊500円程度で泊まれるところが多いので2~3日トビリシに滞在することにしようと思っていました。この日は寒さで日が昇る前に目が覚めてしまったこともあり、この日に動くのは面倒に感じたので次の日に溶接工場に行くこととしました

    カズベキの標高の高いところから標高のそれほど高くないトビリシに来たので、厚着をしていた関係でとても暑く感じていました。この日はもうゆっくりすることにし、近くのお店でビールを買って昼から一人贅沢な時間を過ごします。

    次の日(9/20(金))はサイドケースのステーの溶接しに行ったのと、トビリシにバイクショップがあるという情報を得たので目的は特に無かったのですが見に行きました。

    そしてさらにその次の日(9/21(土))は天気があまり良くないということで、ジョージアのどこに行こうかなと情報を集めるだけで宿でのんびりと過ごすことにしました。

    このように3日間のんびり過ごしていたため、いろいろと考える時間を持て、これは私にとってとても良い時間となりました。

    きっとこのときの時間が私にとって大変良い時間になったのはジョージアという国が素敵な国であるということも関係していたと思います。

    私はこの旅に出る前は、最悪この旅で命を落とすようなことがあっても仕方ないと考えていました。

    もちろん実際に西モンゴルソンクルの狭い崖タジキスタンのドゥシャンベからウズベキスタンとの国境までの間にある人食いトンネルなど、一歩間違えば命を落としてしまうような場所もあったわけで、そんなところを走った時は恐怖に震えたのですけれど、ただそれは本能的なものであり、結果として命を落とすようなことがあってもそれは仕方のないことだと考えていました。

    生に対する執着がそれほどなかったのです。

    しかし、この旅が私のそんな考え方をいつの間にか変えていました。

    旅に出る前はどこかモノクロに見えていた私の人生が、この旅に出て3か月、たくさんの人に会い、たくさんの人に優しくしていただき、美しいものをたくさん見て、世界がこんなにも色鮮やかであるということに気づかせられました。

    きっと今なら日本に帰っても、日本の社会もその中で生きる私の人生も色鮮やかなものに見えるのではないかと思います。

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  • この空が蒼すぎて

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    9/18(水) 東京出発102日目、ロシア3回目4日目、ジョージア1日目 グルズヌイ~カズベキ 走行距離206km

    本来ならチェチェンという地域についてもう少し知りたかったのですが、不要にうろついて警察に捕まったりするのも嫌なので早々に出発することにしました。

    オートバイで走っていても警察の検問が多いと聞いていたのですが、朝の早い時間だったためか、そのようなこともありませんでした。

    軍の検問所もスルーパスでした。

    ロシアからジョージアの国境に近づくにつれ景色も雄大なものになっていきます。

    遠くの方にジョージアの山々が見えます

    ジョージアも旧ソ連圏ということもあり、国境は楽に通過できると聞いていたのですが、なぜか私の場合、簡単にいきませんでした。

    いつも通りパスポートとオートバイの登録証を見せます。

    するとこの旅で初めて国境で運転免許証を提示するように言われました。国際免許証を見せると、今度は日本の免許証も見せるように言われます。

    担当官が何度も私の運転免許証を見て、しまいには端によけてしばらく待っているように言われます。その間に後ろに並んでいた人たちを先に処理していきます。

    他の担当官が私のパスポートや運転免許証を何やら調べています。

    何があったのでしょうか?不安です。

    15分くらいすると最初の担当官が私を呼び「名前は?」と聞きます。

    名前を答えると笑顔になり、「これで終わりです。行っていいですよ」と言ってパスポートなどのドキュメント類を返却してくれました。

    一体なんだったのでしょうか?

    でもまあ、何事もなく通過できたので良しとします。

    この日は当初の予定としてはジョージアの首都トビリシまで行く予定でした。

    というのも私はジョージアに行きたいと思っていながら、ジョージアについてほとんど何も調べていなかったため、一旦トビリシの安宿に行ってしばらくそこに滞在して情報を集めようと思っていたからです。

    しかし聞いてはいたのですがジョージアは雄大な自然が大変美しいです。モンゴルやキルギスにも引けを取らない素晴らしい景色が続いていきます。

    ここはジョージアに入国して10kmほど走った所です。
    ここで自動車保険に入ります。
    ジョージアは自動車保険の加入が必須で、もし入っていないと出国時に罰金を取られるので注意(>_<)

    モンゴルもキルギスも雄大な景色が広がり、特にキルギスのソンクルなんて忘れることのできないほど美しい場所でしたが、ジョージアの景色はそれとも少し違ってこの景色の中にいると何故か安堵するようなそんな印象を受けました。

    これって一体どうしてなのだろうかと思ったのですが、その答えにはすぐに気づきました。

    ジョージアの植生が日本に非常に似ているのです。ジョージアの森林の中を走っていると、日本の田舎道を走っているような錯覚に陥るのです。

    やはり人間はどうあっても結局は自分の生まれ故郷に親近感を覚えるのでしょう。

    国境を越えて数十キロも走ると何やら数台のバスや車が停まっている駐車場を見つけました。

    私もそこに停車して地図を確認してみると、これより先の山道を登って行くと教会があるようです。後で調べて分かったことなのですが、この教会は標高2,000m以上の高さにあり、天国に一番近い教会と呼ばれているそうです。

    正式な名称は「ツミンダ・サメバ教会」という名前のようです。

    向こうに小さく見えるのが天国に一番近い教会

    考えてみるとこの旅でイスラム教のモスクは見たことはありましたが、キリスト教の教会を見たのは初めてでした。

    たくさんの観光客が訪れていましたが、中では礼拝も行われていて写真撮影も禁止されていました。

    観光客が多いのでうんざりするものかと思っていたのですが、決してそんなことはなく、私はこの場所が気に入りました。

    中では今でも普通にお祈りが行われています
    中の撮影は禁止なので外観のみ

    再び山を下り、少しバイクを南に走らせると少し大きめの観光者向けのレストランが立ち並んだ街にたどり着きました。

    こういう雰囲気の場所で食事をするのはウズベキスタンのブハラ以来二度目でしょうか?

    少し割高になりますし、私個人としては観光客向けのレストランよりも地元の人たちが行くお店の方がその土地の雰囲気を感じられて好きなのですが、たまにこういったところで食事をするのも楽しいですね。

    ジョージアはワイン発祥の地とも言われていて、皆さんが普段口にする樽で作るワインとは少し製法が違って、床に埋めた壺で作るワインがあるのですが、ぜひともそれを飲んでみたいと思っていました。

    しかし、オートバイでの旅行の場合、ランチにお酒を飲むことができないのがたまに辛いと感じます。

    こういった一般の観光客が多い場所ですと、オートバイでの旅行者は珍しいらしくたくさんの観光客から声を掛けられます。

    一人のドイツからの観光客であるという老婦人は私に大変関心を持ったらしく、日本からどこをどう走って来たのかや、これからどこに行くのかと言ったことをたくさん質問してくれました。そして、周囲にいる一緒に来ていたと思われる同年代の旅行者たちに私を指さし逐一説明しているようでした。

    この辺りの地域はカズベキと呼ばれる地域だそうで、東に行くとジュタという名前の美しい村があるという話を聞いたので、トビリシに行く前にそちらに行ってみることにしました。

    パミールハイウェイを走ったあともダートを走ることはあったのですが、それらは工事中の区間であったり、単に街中の悪路でしかありませんでした。

    今回このジュタに続く道は久しぶりに大自然の中を走るダートで非常に気持ちが良いです。

    とても美しい山道を走って行きます

    ジュタには一時間ほどで到着したのですが、そこは予想していたものとは違い、ゲストハウスが立ち並ぶ観光地でした。客引きがしきりに私に手招きしているので、少々うんざりして元来た道を引き返すことにしました。

    しかしジュタへと続く道は大変美しいです。途中少し開けた場所で通りから少し隠れられる場所を見つけます。

    オートバイをその場所に走らせて停車します。

    山に囲まれたその場所から見上げる空は何て濃い青色をしているのでしょうか?

    なんて濃い青い空なのでしょう!

    あまりにもその空が青かったので、トビリシに行く予定を変更して、この日はここでキャンプをすることにしました。

    テントを張りコーヒーを淹れます。

    ここにテントを張ります

    このひと時って本当にたまりません。

    大自然の中で飲むコーヒーはたまりません(>_<)

    もう9月も下旬に差し掛かろうかというこの時期、標高も高いこの場所は夜は冷え込みます。

    夜中に尿意を催しテントの外に出てみると、そこには天の川の流れる満天の星空がありました。

    そういえばモンゴルで悩んでいたときも、夜中にテントの外に出て見上げた星空が私を勇気づけてくれました

    日が沈むころに飲んだコーヒーと、このときにまさに見ている星空が再び私に前を向く力をくれたように感じ、先ほどまで寒いと思っていたひんやりした空気も心地よく、再度眠りに落ちていくのでした。

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